その一方で元巨人の古川侑利が北海道日本ハムと育成契約を結んだのは余りにも皮肉。
毎年、フジテレビ系の「プロ野球珍プレー好プレー大賞」と並ぶ、
プロ野球界年末恒例となったTBS系「プロ野球戦力外通告」が28日に放送された。
この番組は、プロ野球ファンでなくても、思わず見入ってしまうんだよね。
昨年この番組で密着取材を受けた田原誠次(最終所属先:巨人)は、
社会人野球への道も模索していたものの、3月、静かに現役を退いた。
今シーズンは、東京オリンピック・パラリンピック開催の影響で12月に開催された合同トライアウトに向け、
3人の戦力外通告選手に密着したものの、うち2名は田原誠次とは潔かった決断を出した。
◆牧田和久(投手/最終所属先:楽天)
一度見たら忘れられない独特のアンダースローで、
かつて侍ジャパン(野球日本代表)で守護神を務め、アメリカ・メジャーリーグにも参戦したクローザー。
2020年に楽天入りし、同年は頼れる中継ぎとして52試合に登板。
そんで、2021年は一転して振るわず戦力外通告を受けた。
2020年にフラワーデザイナーのシュウ夫人と結婚し、1児を授けたのに、その矢先での出来事だった。
だが、牧田は今回のトライアウトが12月のメットライフドームで、寒い中でのパフォーマンス低下を危惧し、
トライアウト不参加を決め、他球団からのオファーを待つことにした。
◆川原弘之(投手/最終所属先:福岡ソフトバンク)
甲子園出場歴なしなのに、2009年のドラフト会議で2位指名を受けた左腕は、
球速155キロも出す剛速球でざわつかせたものの、慢性のイップスに悩まされ、育成契約が続いた。
2019年にチームの台所事情もあり、パリーグ公式戦で初ホールドを記録し、
2020年もキャリアハイの登板数&ホールドを挙げ、貴重な左腕として活躍が期待されたが、
翌年、結果が振るわず戦力外通告を受けた。
コロナ禍の影響で戦力外通告を受けた数日後に複雑な心境のまま結婚式を開催。
◆高野圭佑(投手/最終所属先:中信兄弟=台湾)
2015年のドラフト会議で千葉ロッテから7位指名を受けプロ入りし、
ルーキーイヤーの2016年は中継ぎとして14試合登板、1勝2ホールドを記録し、上々だったが、
翌年から調子を落とし、2019年7月に石崎剛との交換トレードで阪神タイガースへ。
4試合に登板したものの、信頼を勝ち得ることはできず、2020年に戦力外通告。
合同トライアウト、スペック測定会方式で行われたワールドトライアウトにも参加し、
2021年、台湾リーグに活路を求めたが、コロナ禍の影響で8月まで試合が開催されず、
10月に1軍昇格し、初ホールドを記録したものの、外国人枠の関係でフリーエージェント扱いに。
台湾リーグ入りは、大きなリスクも伴い、月10万のサラリーも現地での生活費でほぼ消え、
日本に残してきた妻子の生活費もカツカツに。
もう一度NPBに戻るしかないと、最後の挑戦に打って出ることに。
さて、メットライフドームでのトライアウトでは、高野1人だけ参加となりまして、結果。
◆高野圭佑
合同トライアウト唯一の参加者となった高野は、最初の打席で元楽天・中村和希をライトフライに打ち取り、
次の打席で独立リーグからの参戦となるフェルナンド(元楽天)にてこずったものの、ライトフライ。
続いて武田健吾(元中日)は2ストライクに追い込んだものの、3球目で打ち返され被安打に。
この好投ぶりには、来期から北海道日本ハムの監督に就く”BIG BOSS”新庄剛志が太鼓判を押した。
だが、3日経っても一本のオファーが来ず、期限5日目にNPBの選手会から、
NPBベースボールアカデミーでの講師と、北海道独立リーグの選手兼コーチ、2件のオファーが来たものの、
本人の望んでいたNPB復帰はなかったため、1年で浪人することを決意。
◆川原弘之
所帯を持ったばかりの身で、
選手として野球を続けるかの一方で、福岡ソフトバンクから球団職員として転職を勧められ、
家族のこれからの為にもと、川原は合同トライアウト不参加。
現役を退き、球団職員として再就職を決めた。
◆牧田和久
トライアウト不参加の決断を下した牧田。
今期戦力外の中では掘り出し物と多くの球団が喉から手が出る程ほしがっているのではないかと思われたが、
NPBからは1本のオファーが来ず、トライアウトに参加しとけばよかったと後悔。
来期開幕まで焦らすことにし、その間、社会人時代の古巣、日本通運野球部で体を作ることに。
今回の番組では、2019年に楽天から交換トレードで巨人に移籍したものの、今年戦力外通告を受け、
合同トライアウトに参加した古川侑利投手が北海道日本ハムと育成契約を結んだ一報が、
高野と牧田をうらやませた。
年齢面でもまだまだやれるのに、おじさんは捨てられるとは・・・
今回はある意味、人選がハズレだったなと。