この作品のヒットが、三浦春馬の供養になれば。
20日、春分の日。
この日のわたくしは午前中の晴れているうちに墓参りに赴き、
その足で1時間かけて電車を乗り継いで、
TOHOシネマズ梅田まで「ブレイブ 群青戦記」を鑑賞。
この作品は、週刊ヤングジャンプ(集英社)で連載された笠原真樹の「群青戦記」を原作に、
(現在は同誌で真田幸村軍vs凶悪犯軍団を描いた「真・群青戦記」を連載中。)
(C)笠原真樹・集英社
「踊る大捜査線」シリーズや「亜人」の本広克行が大胆なアレンジを施し、
新田真剣佑をはじめとするフレッシュな面々が勢ぞろい。
もしも、将来を嘱望されたスポーツエリートの高校生たちが、戦国時代にタイムスリップし、
戦国武将とガチンコで対戦したらという、「戦国自衛隊」的発想がかえって面白い。
愛知県と静岡県の県境にある星徳高校は、全国屈指のスポーツ強豪校として知られ、
現在も多くのスポーツエリートが鍛錬を積んでいる。
弓道部に所属している歴史オタクの西野蒼(新田真剣佑)は、
弓道の実力はあるのに目立つのが苦手で、弓道場で練習を積み重ねている日々。
ある日、校舎の真ん中にある石塊に雷が落ち、赤い雨が降り、季節外れのセミが大量に羽化し、
包まれた濃霧が晴れたら、ビル群の景色が一変、森の中に。
そこに野武士の格好をした男たちがグラウンドに現れ、
何かのバラエティ番組の撮影かと練習に打ち込む生徒だったが、
野武士の格好をした男たちが、一切躊躇なく次々と生徒を惨殺。
この光景を目の当たりにした蒼ら逃げ延びた生徒たちの前に、馬に乗った武将が来た。
その武将は、松平元康(三浦春馬)。のちに江戸幕府を築くことになる徳川家康である。
蒼は桶狭間の戦い直前の戦国時代にタイムスリップしたことを悟り、
今川義元の下で捕らわれている身の元康は、
織田信長(松山ケンイチ)率いる織田軍の支城を抜け、今川軍に資材を送り届ける最中で、
蒼たち星徳高校の生徒に織田軍の支城襲撃を命じた。
前代未聞の高校生アスリートvs織田信長軍の戦いが切って落とされようとしていたが、
すべては前年に石塊の力でタイムスリップし、
織田軍の武将、簗田政綱と名乗り、裏で操っている不破瑠衣(渡邊圭祐)の思惑通りだった。
「仮面ライダージオウ」で預言者ウォズを演じ、メインキャラを弄んだ渡邊圭祐が、
この作品でも、悪い意味でメインキャラを弄ぶとは・・・
どんだけ弄れば気が済むんだとツッコんじゃったわ。
ま、「歴史は『諸説あり』があるから面白い」を地で行くタイムスリップもので、
日本古来からの弓道、剣道、柔道、空手はもとより、
野球、アメフト、フェンシング、ボクシングも盛り込んじゃったら、歴史変わっちゃうだろって!
このやりすぎ感が、「群青戦記」を週刊ヤングジャンプを代表する作品に押し上げてくれたんだよね。
この映画で松平元康を演じている三浦春馬は、生き生きとしていて、
セリフの一句一句に説得力があったわ。
いい役者を失ってしまったことで、心にぽっかり穴が開いてしまった。
この映画、総合では「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に届かなかったものの、
実写の日本映画で1位をとったことは誇り高い。
この映画のヒットが、三浦春馬の供養になればと思う。