やっぱ「ナウシカ」は大スクリーンで見てこそ。 | ガンバボーイ2号のGuerrilla Radio

やっぱ「ナウシカ」は大スクリーンで見てこそ。

6月最後の日曜日、ワタクシはTOHOシネマズなんばまでダブルヘッダーを敢行。

最初は朝早くから「風の谷のナウシカ」を鑑賞。

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除されたものの、

”3密”が怖くて、映画館に足を運ぶのをためらっている方も多いことから、

東宝が「一生に一度は、映画館でジブリを。」と銘打ち、

スタジオジブリを代表する4作品をディスカウントプライスで特集上映。

しかも全作品、スタジオジブリ作品のブルーレイ化(2010年)に合わせ、

6Kデジタルリマスタリングを施し、デジタルデータ化したことで劇場初公開時の色彩を再現。

その上映される4作品のチョイスが粋。

全てスタジオジブリにとってのターニングポイントになった作品ばかり。

 

「風の谷のナウシカ」(1984年公開)

テレコムアニメーションを退社しフリーのアニメーターになった宮崎駿が、

月刊アニメージュ(徳間書店)で連載していたバンドデジネ風漫画の全7巻中最初の2巻をアニメ化。

徳間書店に鞭を打たれる形でアニメ映画化が決まり、恩師の高畑勲がプロデュースし、

トップクラフトがアニメーション制作を手掛けることに。

この布陣は2年後の「天空の城のラピュタ」を機に、トップクラフトを改組する形でスタジオジブリが誕生。

 

「もののけ姫」(1997年公開)

スタジオジブリの大作路線のきっかけになった作品。

米良美一のカウンターテナーが効いた主題歌も話題になった。

1995年公開の「耳をすませば」で実践したドルビーデジタルの国内ダビングを敢行しただけでなく、

デジタル作画や3DCGも導入し、スタジオジブリの制作体制を刷新。

興行収入193億円を稼ぎだした。

 

「千と千尋の神隠し」(2002年公開)

「もののけ姫」を超える興行収入308億円、未だ破られることがない日本映画興行収入総合1位の金字塔。

日比谷スカラ座(東京)&梅田スカラ座(大阪)限定でDLPデジタルプロジェクター上映が実施。

後のデジタルシネマ時代を見越した展開も308億円稼いだ要因に。

ハク役の入野自由は、後に「あの花」「おそ松さん」などの人気アニメにレギュラー出演する人気声優に。

 

「ゲド戦記」(2006年)

宮崎駿の長男で、スタジオジブリ入りするまでは景観設計に携わっていた宮崎吾朗の初監督作品。

いつまでも宮崎駿&高畑勲におんぶにだっこするのもナンだから、後継者育成優先にシフト。

宮崎駿が長年温め続けたル=ケヴィンのファンタジー小説を原作に、吾朗監督なりに肉付け。

この作品から日本テレビのサーバーに間借りしていたスタジオジブリの公式サイトも、「ghibli.jp」に引っ越し。

同サイトで宮崎吾朗監督のブログを開設し、この作品の製作意図や舞台裏を積極発信した。

 

で、今回は「風の谷のナウシカ」を鑑賞。

実は「ナウシカ」鑑賞歴が日テレ系の「金曜ロードSHOW!」程度で、映画館では見ていない。

ワタクシもあの頃より価値観も志向も変わっており、「興味なし」から「興味あり」になったので、

まさかの「一生に一度は、映画館でジブリを。」緊急決定で、

「ランボー ラスト・ブラッド」見ようとしたのに、ダブルヘッダーも辞さず。

 

地球壊滅後の近未来。

高度な産業文明を破壊させた「炎の七日間」戦争から1000年。

人類はオームをはじめとする巨大な虫や、毒の森・腐海に脅かされながら生きてきた。

辺境の小国・風の谷のジル族長の娘、ナウシカ(CV:島本須美)は腐海の森探検の最中で、

暴走したオームが出現し、それに追われるかのようにトリウマに乗った恩師・ユパ(CV:納谷悟朗)が。

ナウシカは愛機メーヴェを繰り出し、ユパを救出し、風の谷に帰還。

 

そんなある日、ペジテ市の難民を乗せた輸送船が風の谷に墜落。

輸送船には、旧世界の怪物「巨神兵」が積載されていた。

この輸送船墜落が、国家間の争いを招くことに。

 

約2時間に詰め込まれた情報量が半端なく圧巻。

宮崎駿はこの作品を通じて、文明社会の功罪を大きく問うたと思う。

文明が発達するにつれ、公害や差別が発生し、

「炎の七日間」戦争みたいな紛争が起こり、社会が崩壊していき、世界が腐海に侵食。

人類は人類らしい生活を取り戻すために、風の谷みたいなコミュニティを作った。

 

今でも新鮮に感じ取れるセルアニメの色彩感。

6Kデジタルリマスタリングを施したことで、さらにくっきり出ていて、

初公開当時物議を醸し出した”ナウシカノーパン疑惑”も、

ナウシカの素肌の色と、厚手の白タイツの色の区分けが出来たわ。

後半のハイライトである巨神兵の光線発射シーンは、

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開が待機中の庵野秀明だから出来たなせる業。

 

この映画はモノラル音声で、こんだけスケールある作品なのに、

何でドルビーステレオを施さなかったの!ってツッコんじゃったけど、

今回のデジタルパッケージ版は、オープニングとエンディングの久石譲のスコアがね、

鳥肌が立っちゃうくらい、5.1chに施されたと感じちゃったわ。

 

初公開から35年たっても、「風の谷のナウシカ」はスゴくて偉大。

映画館の大スクリーンで見れば、テレビで見るより感覚が大きく違うと感じ取れるぞ。