製作する側も黒人差別の意図はなかったようで・・・
もう30作品目になった、
「アマゾンプライムビデオの会員見放題で見つけた、ワタクシがチェックし損ねた映画な話」。
記念すべき30作品目は、
映画史に残る不朽の名作「風と共に去りぬ」(1939年/日本公開は1952年)。
マーガレット・ミッチェルのベストセラーを「ジャンヌ・ダーク」のヴィクター・フレミングがメガホンをとり、
ヴィヴィアン・リー&クラーク・ゲイブルという世界的名優を主演に迎え、
1939年度米アカデミー賞で作品賞、監督賞をはじめ10部門を獲得。
オハラ家のメイド、マミー役のハティ・マクダニエルは、助演女優賞を受賞し、
黒人俳優として初めてオスカーを獲得した。
タイトル自体だけは知っているんですが、なかなかお目にかける機会がなかったんですが、
白人警官による黒人挟殺事件に端を発する「BLACK LIVES MATTER」運動で、
作中で描かれている黒人差別を肯定したとして非難を浴び、
アメリカの動画配信サービス「HBO Max」が配信を停止し、物議をよんでいたので、
ちょうど今日(6月20日)が休みなので、吹替え版を視聴することにしました。
吹替え版は、日本での保護期間が満了した後に販売されたパブリックドメインDVD版のキャスト。
スカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー)>日野由利加
レット・バトラー(クラーク・ゲイブル)>内田直哉
この映画は、1860年代、南北戦争下のジョージア州アトランタ市を舞台に、
気性の激しい南部の女性、スカーレット・オハラの半生を、
前後編計3時間48分に詰め込んだ壮大なドラマで、
レット・バトラーとアシュレー・ウィルクスの間で揺れ動くスカーレットの心情と、
奴隷制度を巡る南北の戦いを描いております。
テクニカラーの色合いと、スタンダードサイズいっぱいに描かれたアトランタの風景。
そして、スカーレットとレットのメロドラマ展開が、長年多くの人たちから愛されているのがよくわかるわ。
日本ではアメリカでの公開から13年遅れ、1952年9月に公開され、
第二次世界大戦の敗北で立意義や志を失った日本人の心に響き、ロングランヒットを記録。
以来、何度もリマスタリングされ、上映する度に多くのファンを生みだしているよね。
さて、アメリカ公開から80年を過ぎた現在、この不朽の名作が、
「BLACK LIVES MATTER」運動に巻き込まれ、とんだ逆風にさらされている。
この「風と共に去りぬ」は、南北戦争前の南部を美化したせいで、奴隷制度の残酷さを無視したと、
多くの人権活動家からツッコミが入ってきたんだよね。
で、南北戦争で、奴隷制度反対の姿勢をとる北軍が勝利したことで、
南部の人たちは苦境に立たされたことを考えたら、
アメリカ白人は、奴隷所有が許されていた1860年代に思いを馳せるのも無理はない。
この映画のプロデューサーであるデヴィッド・O・セルズニックは、映画を手掛けるにあたり、
人種問題や奴隷制の描写について問題になる部分が多々あったため、
原作から黒人奴隷のポークの妻、ディルシーをはじめ、登場する多くの黒人奴隷を削除。
黒人の扱いに最低限気を配ったため、
この映画が黒人差別を助長していると訴えるのは烏滸がましい。
この映画があったからこそ、ハティ・マクダニエルが黒人俳優で初めてオスカーを獲得し、
黒人の社会進出を促したのは言うまでもない。
映画自体に罪はない。
多くの人民は、人権問題に過剰になりすぎている。
今、冷静になって、「風と共に去りぬ」を見て、考えるべきだと思う。