今でも真言宗の教材として使われている「空海」。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急企画。
「アマゾンプライムビデオの会員見放題で見つけた、ワタクシがチェックし損ねた映画な話」。
第19弾は佐藤純彌監督の1984年公開映画「空海」。
真言宗を開祖し、密教という概念を日本に広めた弘法大師空海の高野山入定1150年を記念して、
東映と全真言宗青年連盟がタッグを組み、中国ロケを敢行した超大作。
北大路欣也が役作りのため頭を丸め、空海に挑み、ダイナミックに演じているところが素晴らしい!
前々から気になってんのに、タイミングを逃し、年相応でようやくお目にかかることになりました。
祖父を頼り、奈良の平城京に出て来ていた真魚(後の空海)が、
遷都騒ぎで姿を消し、6年後、乞食坊主の姿で故郷の讃岐に現れた。
真魚は家族の反対を押し切り、再度命がけの修行の旅へ。
延歴21年1月、富士山で大噴火が起こり、近くで修行していた真魚は、
逃げ惑う村人たちを鍾乳洞に避難したんですが、ある出来事に遭遇してしまう。
この出来事が、2年後、真魚を遣唐留学生として唐に渡る決意を固めることに。
唐の国で真魚は密教の存在を知り、名を空海に改め、超人的なペースで密教の全てを会得し、日本に帰国。
同じく唐に渡った天台宗開祖・最澄との確執。
旅先の村で遭遇した疫病に上げぐ人々の救済。
故郷・讃岐の満濃池の築堤事業に尽力。
高野山に寺院を建立する計画に着手。
最澄の逝去と、高野山の万灯万華会での入定。
上映時間が約3時間なのに、長尺であることを忘れてしまうくらいわかりやすかった。
この映画が完成まで、脚本が出来てないとか、
当初メガホンを取る予定だった増村保造監督が降板したり、
全真言宗青年連盟が前売り券200万枚を買い占めたりとか、紆余曲折あったけど、
北大路欣也の怪演もさながら、今は亡き名優の演技にも感慨深いものがあり、
文部省(当時)選定で、今でも真言宗の映像教材として使われているのも頷けるし、
前衛音楽家のツトム・ヤマシタによる劇伴も優れている。
佐藤純彌監督と言えば、「植村直巳物語」「敦煌」「男たちの大和」に代表される超大作から、
「新幹線大爆破」「北京原人」といったカルト映画まで幅広く手掛けており、
その幅の広さは、日本テレビ放送網勤務の”社員監督”として、
「カイジ」シリーズや「ごくせん」を手掛けている息子の佐藤東弥に受け継がれているんだよね。