ハンセン病患者が背負った哀しみがひしひしと伝わった。
こんばんは。
今、新型コロナウイルス「COVID-19」が全世界で蔓延していて、
日本でも8都府県(うち1県が県庁独自)に緊急事態宣言が発令され、
それ以外の地域でも不要不急の外出が自粛になり、週末引きこもり状態になっている方々も多いでしょう。
映画界もその影響はもろに受けてて、3月以降に公開が予定されていた作品が次々と公開延期をきめ、
撮影及び進行中の企画も相次いで頓挫。
映画館も相次いで休館を決め、数多のミニシアターが経営危機に瀕している。
無論、週末、映画館で映画を観るワタクシも、新型コロナウイルスのせいで悲鳴を上げている。
そこでワタクシはコロナが終息するまでの間、ある企画を立ち上げることにした。
ワタクシはず~っとNTTドコモを利用しているんですが、
昨年出した新料金プラン「ギガホ」の登場に合わせ、長年親しまれたガラケーからスマホに乗り換え、
しかも、「ギガホ」加入者限定で、アマゾンプライム会員の1年間の会費が無料になるキャンペーンに参加。
(年会費税別4900円をNTTドコモが負担します。)
そのアマゾンプライム会員の特典である、アマゾンプライムビデオの会員見放題で見れる映画の中から、
ワタクシが(劇場公開時)チェックし損ねた、見たくても事情で見れなかった映画を観て、
グダグダ語る企画を立ち上げることにしました。
新型コロナウイルスの蔓延による週末の外出自粛を、
アマゾンプライムビデオの鑑賞に充てるのもいいと思うで。
まず、記念すべき第1回は、河瀨直美監督の「あん」(2015)。
「殯(もがり)の森」で第60回カンヌ国際映画祭審査員グランプリを受賞するなど、
海外では評価が高いのに、国内では全く評価されていない河瀨直美監督。
今年6月(予定)には新作「朝が来る」の公開が待機中の彼女の、
2015年にシネスイッチ銀座などのミニチェーンと、一部のイオンシネマで公開された作品。
何でこの映画を取り上げたかと言うと、
全くマークしていなかった、口コミでじわじわ広がっていたことを完全にスルーしていた。
それが理由。
見てみたら、これが最後の主演映画になった樹木希林の存在が半端なかったわ。
かつて「叫ぶ詩人の会」を率い、自作のポエムをハードロックに合わせて叫び、
自身のラジオ番組でのストレートなトークに、若者の高い支持を得た、「善の伝道師」ドリアン助川の小説が原作で、
戦後史でタブーとされたハンセン病を取り上げたド直球の人間ドラマにしあがってたわ。
しかも、ラストのシーンでボロボロ泣いたわ。
傷害事件で刑務に服し出所した後、どら焼き屋の雇われ店主になった千太郎(永瀬正敏)の下に、
手に障害を抱えた1人の老婆、徳江(樹木希林)が訪れた。
彼女は50年間も、つぶあん作りに精を出し続けた経験から、厨房に立って働きたいと懇願。
千太郎は固辞するが、徳江の情熱と、常連客の中学生ワカナ(内田伽羅)の説得に根負けし、雇い入れることに。
徳江の作ったつぶあんが想像以上にうまくできていて、
これまで使っていた一斗缶に入っていた業務用のつぶあんから変えたところ、店は繁盛。
しかし、どら焼き屋のオーナー(浅田美代子)が、彼女がらい病(ハンセン病)であることを告げられたことから、
業績は悪化し、徳江は店から去ってしまう。
徳江のお蔭で単調な日常が充実した日常になった千太郎はワカナを伴い、らい病患者の療養施設に行くことに。
樹木希林のパンチ力のある演技と、河瀨直美監督の編集テクニックが見事なまでに化学反応を起こし、
さらに、ハンセン病のことも織り込まれたことで、生きたくても生き辛い人生を送ってきた人間の訴えが響いたわ。
親友役で出演した市原悦子の存在も半端なかったわ~。
恐らく、「あん」は河瀨直美監督映画初のメガヒット作だったかもな。
アマゾンさん、会員見放題にしてくれてありがとう。