「AKIRA」が目指したのはセルアニメの限界。 | ガンバボーイ2号のGuerrilla Radio

「AKIRA」が目指したのはセルアニメの限界。

偶然にもGYAO!で「AKIRA」(4Kデジタルリマスター版)が配信されていた。

11日までの配信なので、わざわざ高画質モードで視聴。

 

週刊ヤングマガジン(講談社)で連載されていた大友克洋の代表作を、

大友克洋自らメガホンをとった、1988年7月公開のアニメ映画。

同じヤングマガジン発の「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」と並ぶ、

”ジャパニメーション”を語るには外せないマスターピースが、4Kデジタルリマスターで復活。

実は日本公開時、ミナミの映画館まで観に行き、

製作当時のアニメの表現に真っ向から立ち向かったことに驚嘆したのを覚えていて、

今回、4Kデジタルリマスタリングを施されたことで、クリアな画質となり、

映画館で見たときと同じくらい驚嘆したわ。

 

舞台は世界的なスポーツイベントの開催を翌年に控えた2019年のネオ東京。

1988年に特殊爆弾が首都圏に落とされたことから、第三次世界大戦が起こり、

壮絶な戦いの果てに終戦を迎え、復興の真っただ中。

金田正太郎(作中では「金田」だけ。/CV:岩田光央)と、島鉄雄(CV:佐々木望)は、

児童養護施設の頃からの長い付き合いがある職業訓練校の生徒で、

暴走族に属しており、日頃の鬱憤を晴らすかのように、改造バイクを駆って日夜暴走行為を行っている。

 

この日も、金田と鉄雄は仲間と一緒に暴走行為を行っている最中、

鉄雄は視界に白髪が生えていた少年・タカシ(CV:中村龍彦)が飛びだしてきて避けきれず転倒し負傷。

そこに、タカシを追った敷島大佐(CV石田太郎)率いるアーミーが現れ、

少年と鉄雄を連れ去り、残された金田と仲間たちは逮捕されてしまう。

 

翌日、区立の体育館に作られた臨時の取り調べ室の席で、

鉄雄を探していた金田は反政府ゲリラに参加していたケイ(CV:小山茉美)と逢う。

反政府ゲリラは、”アキラ”なる存在を探し求めていて、金田は次第に反政府ゲリラに加担することに。

 

一方の鉄雄はタカシと接触したことで、超能力が覚醒し、心の中で燻り続けていた金田への劣等感が爆発。

しかも、”アキラ”の存在を知り、”アキラ”が保管されている特殊爆弾の爆心地へと赴く。

 

やがて金田と鉄雄は、爆心地近くに建設中の国立競技場での最終決戦へと。

 

映画公開当時は、まだ連載中で、全6巻ある単行本の1巻~3巻を、

大友克洋監督と橋本以蔵が練りだした独自の結末で帰結。

賛否両論あったけど、”ジャパニメーション”を語るには外せない作品であることは間違いない。

また評価の高い点として、セルアニメの限界に挑んだことも大きい。

東京ムービー新社(現:トムスエンタテイメント)を制作拠点に、

70mmプリント対応、使用したセル画が15万枚、

このアニメのために生みだされたカラーの絵の具が多く作られ、

アニメーターの努力も手伝ってか、想像を超える作品に仕上がった。

しかも4Kでデジタルリマスタリングしたことで、画質の向上が図られ、没入感が半端ない。

 

山城祥二率いる民族音楽集団・芸能山城組によるケチャを中心とした劇伴も、

公開から30年以上経つのに、圧巻。

山城祥二自身、音楽家だけでなく、科学者の顔も持っており、サントラだけで宇宙を感じてしまったわ。

 

改めてみて、「日本よ、これがアニメだ」、いや、「世界よ、これが日本のアニメだ」と大声で言いたくなるわ。