教訓「お人好しは、漫画家にふさわしくない。」
21日放送のフジテレビ系「直撃!シンソウ坂上」は、2月9日に30回忌を迎えた手塚治虫を特集。
「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブラック・ジャック」「リボンの騎士」「ふしぎなメルモ」「どろろ」・・・
漫画とアニメの分野で才能を発揮し、”マンガの神様”と慕われた手塚治虫だったが、
実はかなりのポンコツだったことを、改めて思い知らされました。
番組では、NHKからお借りした手塚治虫に密着したドキュメンタリーの映像や、
手塚アニメベスト5、手塚プロダクション本社の”開かずのキャビネット”解禁を取り上げ、
あらゆる角度から手塚治虫の功績とこだわりを再検証。
◆手塚アニメベスト5
1969年版「どろろ」が取り上げられたことは奇跡。
百鬼丸が全身が欠損した身体障害者であることや、台詞に放送禁止用語や差別用語が含まれたことから、
再放送の機会を失い、ソフト化も難しく、
東京・高田馬場の自主上映スペースで特集上映が組まれた程度やったのを覚えてるわ。
後に2007年に妻夫木聡&柴咲コウのW主演で映画化されたり、
2019年1月期、TOKYO MX系でのリメイク版テレビアニメが放送されたりと、再評価の機運が高まっており、
1969年版「どろろ」が、百鬼丸の大立ち回りのシーンだけ取り上げられたことが救い。
◆手塚治虫に密着したNHK特集
多いときは15本の仕事を抱えたものの、締め切りは・・・守らなかったことから、
担当編集から”おそ虫”と揶揄されたことも。
必死に締め切りを伸ばそうと電話交渉したり、いざデスクに座ったかと思ったら、ZZZ...
オイ!
◆アニメの分野でもポンコツを晒した
日本のテレビアニメのビジネスモデルを作った「鉄腕アトム」も、製作中にポンコツぶりを晒した。
あるエピソードで30分のうち6分分しか作っておらず、苦肉の策としてお茶の水博士がアトムの家を訪れ、
(アニメを手掛けている)虫プロダクションにTVカメラが入り、作業工程を撮影したドキュメンタリーを放送し乗り切ったことや、
アトム役の声優を務めている清水マリも思わず苦笑いした、
絵コンテすらできていなかった時に、縦線だけの映像を見ながらアフレコの話も。
確か虫プロダクションって、社員として雇っているアニメーターを拘束し続け、
手塚治虫と制作部門の間でトラブルが生じ、これが虫プロダクションの崩壊の原因になったんだよね。
手塚治虫は才能は一流だが、経営は三流だったことを晒した。
虫プロダクション崩壊後、制作部門&営業部門の一部のスタッフは、日本サンライズ(現:サンライズ)を立ち上げ、
「機動戦士ガンダム」を制作し、日本が世界に誇るキラーコンテンツに押し上げたのは言うまでもない。
話を戻す。
虫プロダクションを追われた手塚治虫は、漫画作品の版権管理を担う手塚プロダクションを立ち上げ、
経営体力が戻ったことを機に、再びアニメの分野に乗り出し、
日本テレビ系「24時間テレビ 愛は地球を救う」で2時間オリジナルアニメを制作することに。
ここでも24時間テレビの放送中にギリギリまで製作していたことも。
◆開かずのキャビネット
手塚治虫の長女で、手塚プロダクションの取締役を務めている手塚るみ子の協力で、
手つかずのまま残している手塚治虫のアトリエにある、開かずのキャビネットが解禁され、
そこには、自身が女体を書くのが苦手だったことを克服するために動物から人間の女体に変身する絵が数枚あったり、
逝去6か月前に書かれた「AKIRA」を連載していた頃の大友克洋に充てた寄稿文の下書きが。
その寄稿文に込められたメッセージが、かなり熱かったんだよね。
改めて手塚治虫って、唯一無二の才能を発揮し、日本のサブカルシーンにおけるカリスマだってことがわかったし、
今の漫画家に、くれぐれもポンコツにはなるな!というメッセージが込められていたわ。
それが「お人好しは、漫画家にふさわしくない」と。
仕事を選ぶことだって大事。
安易にオファーを受けたら、しっぺ返しは半端ないと。
今回、いち漫画家として、手塚治虫を取り上げたが、
この日の放送でVTR出演してくれた永井豪の精力的な創作活動の真相を直撃してほしいし、
今年「機動戦士ガンダム」が放送40周年を迎えるとあって、
産みの親である富野由悠季監督の半生を直撃してほしいわ。
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