クドカンのドラマに見習え。ドラマ作る側も視聴者を選ぶ権利がある! | ガンバボーイ2号のGuerrilla Radio

クドカンのドラマに見習え。ドラマ作る側も視聴者を選ぶ権利がある!

宮藤官九郎が脚本を書いている、
8日放送分の日テレ系「ゆとりですがなにか」は秀逸やった。
だっていきなり、山路(松坂桃李)が勤める小学校の職員室に、
教育実習生・佐倉(吉岡里帆)の年下の彼氏・静麿(北村匠海)が山路に、

「うっせぇ!童貞は黙ってろ!!!」

と暴言。
しかも静麿が佐倉のスマホのロックを「0000」から調べ上げ、
LINEにアクセスして予測変換し、山路と佐倉のやりとりを読み取った。
冒頭からフルスロットルで飛ばしまくり、
今度の学芸会で行う劇をめぐり、
山路のクラスの保護者のわがまますぎる要求がマシンガンのように応酬。
(このクラスの保護者って、立派な”モンペ”なのに、自分が”モンペ”だという自覚がない。)
まりぶ(柳楽優弥)が呼び込みのバイトをやっているおっぱいパブで働きたい女性との面接で、
女性の怒涛のマシンガントークにも屈さない、まりぶのメンタリティの頑丈さに脱帽。
で、この回の結末で、静麿がやったように、正和(岡田将生)が
妹・ゆとり(島崎遥香)のスマホをこっそりのぞき見して予測変換で「大好き」の文字に驚き、
モヤモヤが晴れない正和は、勤務中であるにもかかわらず、
チャリを飛ばしてまりぶが勤めるおっぱいパブに行ってみたら、
セーラー服を着ているゆとりが!!!

など、見所が多く、相変わらずのクドカンワールド全開でしたね。
役者同士のセリフのやり取りと、それに盛り込まれた小ネタ。
こう見えても情報量が多い多い。
これに魅かれる視聴者が多いのも事実なんですが、
視聴率がね、”ゆとりなし”の状況だもんなぁ。
時間帯が日曜プライムタイムで、月曜から仕事や学業に励まなきゃいけないのに、
こんな面白いドラマ送り込むなんて酷いから、
大半はハードディスクレコーダーに録画しているか、
日テレオンデマンドかhuluといった有料動画配信サイトで後日見るケースが多い。
「関東圏6000世帯の視聴率」=「全国の視聴率」がナンセンスに聞こえるわ。
「関東圏6000世帯の視聴率」だけでギャーギャー騒ぐなんてウゼぇ。

ワタクシの個人的な見解ではあるが、この視聴率”ゆとりなし”の状況、
このドラマの脚本を手掛けている宮藤官九郎に否はないと思う。
宮藤官九郎といえば、「池袋ウェストゲートパーク」で堤幸彦監督から大抜擢され、
「木更津キャッツアイ」は終始1ケタ台に落ち込んでも、口コミでDVDレンタルの回転数が高く、
2度も映画に進出し、メガヒットを記録した。
(リスク軽減策で、シネマライズ渋谷を旗艦館としたミニチェーン戦略を組んだのも高かった。)
以降、落語を題材とした「タイガー&ドラゴン」でギャラクシー賞ドラマ部門大賞を、
容疑者の女性に結婚を迫る独身刑事を主人公にした「うぬぼれ刑事」で向田邦子賞を受賞。
NHK連続テレビ小説「あまちゃん」では、
震災からの東北復興ムードに乗っかって、一大ムーブメントを生み出した。

だが、今のテレビが視聴率至上主義の方向に走っているが故、
テレビドラマでは脚本を手掛けるたびに、低視聴率と結果が出ていないケースが多い。
宮藤官九郎が脚本を担当したドラマで平均15%を超えたのは、
織田裕二の椎間板ヘルニア悪化離脱による休止期間があった「ロケット・ボーイ」や、
東野圭吾のベストセラー小説を原作とした「流星の絆」ぐらいで、
先にあげた「タイガー&ドラゴン」や「うぬぼれ刑事」も、2ケタに乗っかるのがやっと。
「あまちゃん」の後に手掛けた「ごめんね青春!」は、
「半沢直樹」「JIN-仁-」を生み出したTBS系”日9”枠のコンセプトに似合わず、低空飛行。

ワタクシ自身、宮藤官九郎が脚本を手掛けたドラマはほとんど見ている。
例え視聴率が低いだ何だ言われても、我慢して最終回まで見ている。
その理由をシンプルに言うと・・・

「解るヤツだけ解ればいい」
「ついてこれないヤツは見るな」

でしょうね。
ワタクシの私見ですが、これは

「ドラマ作る側も、視聴者を選ぶ権利がある!」

を意味している。
これは「クドカンのドラマだけに限らない話」ですが、
インターネットの普及で、視聴率の話題が大きくクローズアップされるようになったせいで、
「大憤死」「次回で打ち切り」などと迷惑なデマゴギーの情報が氾濫し、
これがドラマ作る側のモチベーションを下げたといっても過言ではない。

ドラマ作る側は、視聴率に関係なく、働いた分のギャラが支払われます。
何せ、生活がかかっているから。
それを1話も見ておらず、Yahoo!ニュースの記事を鵜呑みにした、
どこの馬の骨だか知らんヤツにギャーギャーぬかされ、
ドラマ作る側はもうカンカンだもんなぁ。
「お前に言われる筋合いはない!」
「ドラマ見てない分際で偉そうな口叩くな!」
「最初から興味がねぇクセに割って入ってくんな!」
「イチャモンつけるなら二度と見るな!」
とな。
しかも、どこの馬の骨だか知らんヤツの正体が、
ネットに終日張り付いている引きこもり無職か低所得者やったら、
バカにされたドラマ作る側はマジギレでしょうね。
(と、ここまでが「クドカンのドラマだけに限らない話」。)

宮藤官九郎が脚本を手掛けたドラマのいいところは、
速いテンポの展開に小ネタやギャグをちりばめさせ、
終盤で核心を突くセリフを繰り出すのが売り。
堤幸彦監督が「池袋ウェストゲートパーク」で脚本に指名されたのも、
クドカンと堤監督、両者の長所が同じだったことから、
想像以上の化学反応を発生させたもんなぁ。

宮藤官九郎が脚本を手掛けたドラマは、視聴者を選ぶ。
ツボにはまったヤツは末永く見てくれ。
拒絶反応を起こすヤツは最初から見るな。

ワタクシに言わせれば、ドラマ作る側も、視聴者を選ぶ権利がある。
視聴者がアホばかりやったら、最初から仕事を引き受けないよ。
だって、アホを相手にすんのマジで疲れるから。

ワタクシがテレビドラマを手掛けるんやったら、
フジテレビ系の”月9”枠、TBS系の”日9”枠、日テレ系の”土9”枠で、
最初から、視聴率2.6%割れをマジで狙うわ。
「どうせ最初から見ている視聴者なんていないだろう」と横柄にタカをくくり、
嫌がらせをするかのように、視聴者がドン引きするような展開を多く盛り込む。
例えば、コンプライアンスを無視した放送禁止ネタを多く盛り込んだりとかさ。
最高やん。


◆家庭で居酒屋気分を!やきとりカンパニー