5.1の「.1」が秀逸!
日曜日、「ワルキューレ」を見に行ってきた。
トム・クルーズが、「ユージュアル・サスペクツ」「X-MEN」のブライアン・シンガー監督とタッグを組んだ
史実サスペンス。
第二次世界大戦下のドイツ、独裁者であるアドルフ・ヒトラーに反旗をひるがえす
反乱分子による暗殺を企てては失敗に終わる悪循環を繰り広げる中、
派遣先のアフリカ某国で左目と右手全部、左手の指の一部を空爆で失ったシュタウフェンヴェルグ大佐は
祖国の平和のためにヒトラー暗殺計画に加わり、それを優位に進める手として、
反乱軍鎮圧用オペレーション”ワルキューレ”を悪用するが・・・
トム・クルーズにとっては、実在の人物を演じるのは「7月4日に生まれて」以来だし、
私生活でトラブル続きだったことを考えたら、
連日、フランス料理ばかり食べて、たまには「ラーメン食いてぇ・・・」同様の心境だったに違いないし、
ブライアン・シンガー監督は、「X-MEN」のウルヴァリンや、スーパーマンといった
アメコミヒーローものが続き、たまには「ユージュアル・サスペクツ」みたいな映画撮りてぇ・・・
って心境だったに違いない。
こういった両者の欲求不満が見事に化学反応を起こし、想像を絶するサスペンスに仕上がっていた。
スクリーンからも、ドキドキ感とかハラハラ感が伝わってきたしね。
セットで事故が起こっても、フィルムが損傷しても、
ハーケンクロイツ信仰者から脅迫が来ても、
そんなの関係ねぇ!
そんなの関係ねぇ!
そんなの関係ねぇ!
はいっ、おっぱっぴー!
ギャグが死語でも
ダイジョブ~!ダイジョブ~!
ダイジョブ~!ダイジョブ~!
ダイジョブ~!ダイジョブ~!
ラスト・アラウンド・ウェイ!
ハリウッドが第二次世界大戦下のドイツを描くのは、
ユダヤ人救済のために動いた実業家を描いた「シンドラーのリスト」以来で、
敵国であるアメリカがドイツのことを描くのは怪しからんという意見もあるだろうが、
これだけすごい作品に仕上がってくるなんて、底力を見せつけられました。
(でも、セリフが英語・・・)
事実、ワルキューレ計画はヒトラーの暗殺未遂により失敗に終わり、
シュタフェンヴェルク大佐をはじめとする首謀者は即日銃殺となった。
だが、この1年1ヶ月後、ヒトラーはベルリンの戦いの敗北後、
愛人であるエヴァ・ブラウンとともに総統官邸の地下壕で自決することに。
これも独裁者、裏を返せば人間不信者の末路なり。
◆
この作品で秀逸だった点が1つ。
それは、ドルビーデジタル音響の5.1chの、「.1」の部分。
ドルビーデジタルはスピーカー後方の左右と真ん中、そして左右の壁面側の合計5チャンネルに、
空気を震動させる重低音ウーファーの「.1」を組み合わせて再生。
これにより、CD並みのクリアな音声に加え、音響レイアウトと重低音で、
映画の世界を、目と耳と皮膚で体感できる。
冒頭のナチス軍から敵国の爆撃機団による空襲を受けるシーンで、爆音がすさまじかったし、
緊迫感あふれるシーンでも、重低音の震動が皮膚に伝わってきた。