日航機墜落事故を風化させないためにも
「華麗なる一族」「大地の子」と並ぶ山崎豊子の代表作「沈まぬ太陽」が
「ホワイトアウト」(’00年)の若松節朗監督のメガホン、
今や世界の”ケン・ワタナベ”として全世界で名を轟かせている渡辺謙の主演で映画化される。
日本の大型航空会社を舞台に、航空業界の腐敗を糾弾した文庫本で全5巻のボリューム。
空の安全を訴えるために国民航空の労働組合の組合長を務めたため、
世界各地の職場をたらいまわしにされる悲運の男・恩地の戦いを描いた同作。
国民航空は日本航空をモデルに描かれ、
恩地のモデルが、”空の安全”を巡り、日航初のストライキを主導した小倉寛太郎をメインに
登場人物のほとんどが実在の人物がモデル。
航空業界からの名誉毀損に値しかねないことから映画化・ドラマ化がとん挫していた。
報復人事でアフリカ各地の営業所に飛ばされる「アフリカ編」、
御巣鷹山墜落事故の責任追及を描いた「御巣鷹山編」
腐敗体質の温床になった存在や、背後の黒幕を描いた「会長室編」
の3部で構成されますが、
個人的には御巣鷹山の惨事メインで描いてほしい。
御巣鷹山の惨事から間もなく四半世紀を迎え、事故の”痛み”が風化されようとしており、
“空の安全”を見つめなおす機会を作った「沈まぬ太陽」の映画化は意義高い。
上映時間は3時間を雄に超すが、
3部作6時間にした方が原作の良さを生かせるでのはないだろうか。
たとえ航空業界から反発があっても、事故の風化危惧だけは譲れないことを。