小池徹平22歳、体張って頑張ってます!
日曜日、「ホームレス中学生」を見てきた。
漫才コンビ・麒麟の田村裕が、自身の体験を基にした自伝的小説を映画化。
これがなかなかの傑作でした!
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中学2年生の裕は、1学期の終業式の日、家のある団地の棟の前の広場に
田村家の家財道具が外に投げ出されている光景を見、さらに家の玄関前には差し押さえのテープが。
兄と姉が帰宅し、途方に暮れる状況に父が自転車に乗って帰ってきて・・・
ハイッ!解散!
と、一家離散宣言。
元は親父の借金癖が原因なのに、何で巻き添えを喰らうんだ!と。
グチってもしょうがない裕は、1人団地を飛び出してしまう。
仮の住み家がない。親友に頼っても迷惑かけるだけだ。
そこで、見かけたのが、近所の公園の”まきふん”滑り台を寝床に生活するんですが、
これがユーモラス。
近所のガキと滑り台を巡る争いを起こし、
隠れて野グソを敢行し、
雨が降ればすぐさまパンツ一丁になり、シャワー代わり。
挙句の果てには、雑草やダンボールを食した。
前半のハイテンションなサバイバル生活とは対照的に、
後半は民生委員の保護を受け、兄弟3人の生活保護受給生活を送るんだけど、
窮屈感を感じてしまい、西へママチャリを飛ばすことに。
この作品、思う存分笑った後、何かしら裕少年の空しさに共感してしまうんだよね。
小池徹平も、アイドル俳優の肩書きを斯き捨て、体当たりで演じていることに脱帽。
この映画を見ていると、ある対極的な作品が脳裏に浮かんだ。
柳楽優弥がカンヌ国際映画祭主演男優賞に輝いた’04年公開の「誰も知らない」だ。
こちらも親に置き去り同然にされた子供達の漂流生活を描いているし、
実際起こった事件を基にしている。
「誰も知らない」がシリアスかつ、リアルに描いたことで、見る者に強烈なインパクトを与えた事に対し、
「ホームレス中学生」はアッパー感とダウナー感が混在している。
実話をベースにを映画化しても、
前者の是枝裕和(ドキュメンタリー出身)、後者の古厩智之(自主制作映画出身)と
映画監督の思想の違いが大きく出ている。
一度見比べて見るのもいいだろう。
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この映画の配給元の東宝は、今期600億越えの勢いを出している。
この背景にあるのは、3つのチェーン戦略である。
①邦画系(日劇2系)
3月の「ドラえもん」、4月の「クレヨンしんちゃん」、7月の「ポケモン」と鉄板タイトルを据え、
これ以外の期間でも「花より男子ファイナル」「20世紀少年」「容疑者xの献身」と
テレビ局絡みの作品を中心に、10億越えの作品が出てきた。
②洋画系(日劇3、スカラ座、有楽座など)
スカラ座系で公開された宮崎駿最新作の「崖の上のポニョ」が100億越えを実現し、
これ以外でも「陰日向に咲く」「映画クロサギ」「ザ・マジックアワー」「パコと魔法の絵本」が大ヒット。
期限があらかじめ決まっている邦画系とは違い、
当たれば(上映館を変えて)ロングラン、外れたら打ち切りとシビアな事から、
必死のパッチで宣伝に力を入れている。(三谷幸喜の過剰なまでのメディア露出がその象徴!)
GWの「名探偵コナン」、夏の「NARUTO」といった鉄板シリーズも洋画系。
③ミニチェーン系
今回の「ホームレス中学生」は、東宝の東のお膝元である有楽町・日比谷地区での公開はなく、
TOHOシネマズ六本木ヒルズを旗船館としたミニシアター集合体と全国のシネコン中心で公開。
②の手法では興行的に苦しい、あるいは自信がない作品がとる手法として、
近年、最も用いられている。
大ヒットした「電車男」「それでもボクはやってない」「アンフェア THE MOVIE」
「クローズZERO」がミニチェーン系。
今年は「山のあなた~徳市の恋~」(TC六本木系)、
「デトロイト・メタル・シティ」(シネクイント系)が大当たり。
今年発足した角川シネマチェーンも③の手法をとっており、
角川映画直営の角川シネマ新宿に、シネカノン系のシネカノン有楽町2丁目、アミューズCQN、
こちらも角川映画直営のシネプレックスを初めとする全国のシネコンで構成。
継承した日本ヘラルドと大映の規模とは行かないけど、そこそこ成果をあげているらしい。
この手法で、東宝の映画部門は、大いに潤っているといっても過言ではない。
年間10本撮って公開し、3本メガヒットだせば元は取れるハリウッドのメジャースタジオも真っ青だ。
苦戦が続く東映、松竹も参考にしたらいいのに。