6月1日は映画の日なので・・・①
6月1日は映画の日。
(一部劇場を除き)1000円でご覧になれるとあって、この日は久々のダブルヘッダー。
しかも90分前後の作品を2本。
一般1800円ってことを考えたら、かーなーりー!!!得しているんだよね。
郊外のシネコンに遠足気分で駆けつけました。
で、まず見たのが、「山のあなた 徳市の恋」。
草なぎ(旧式漢字)剛が盲目の按摩師を演じた人間ドラマで、
スクリーンから出る独特の味を出してますね。
そもそもこの作品は、”松竹蒲田撮影所”期に活躍し、全編ロケ撮影にこだわった清水宏監督が
1938年に公開した「按摩と女」を、石井克人監督が”カバー”(あえて”リメイク”とは呼ばない)。

これまでのスタイリッシュな演出手法から一転して、暗中模索のまま和のテイストに挑んだ
前の作品「茶の味」(’03)を見た先輩の監督から、「清水宏監督の映画を意識したのか?」と
言われたことから、「按摩と女」カバーのきっかけになった。
総天然色、ドルビーデジタル音響、(戦前の温泉街を再現するための)デジタル合成に姿は変われど、
オリジナルの持っている味に草なぎ剛の演技から放たれる味を融合させ
「按摩と女」は「山のあなた 徳市の恋」として、進化した日本映画として昇華した。
草なぎ剛と加瀬亮のやり取りも傑作やし、
オリジナルを意識せずにイメージだけで挑んだ堤真一の演技も中々のものである。
この作品は、ドルビーデジタル音響にも耳を傾けてほしい。
見所は加瀬亮が尺八を吹いている場面、滝の場面、
雨の日の湯治場に近い川の場面を聴けば判ると思うが。
上映時間94分は、とても有意義になった。
音響のよさに、震えが止まらなかった。
最高の映画体験でした。