今回はマジメに行きます。
近作の「TAKESHI’S」「監督・ばんざい!」の難解さで、評論家、マスコミ、ファンから大ブーイングを浴びた
北野武監督の最新作「アキレスと亀」が本年秋公開に向けて急ピッチで撮影中だそうだ。
この映画は、才能がないのに画家になる夢を抱く少年・真知寿(まちす)が成長し、
彼を支える妻とかなわぬ夢に向かってのめり込んでいくストーリーで、
北野監督いわく「芸術を最高だと信じた男の悲劇」と、自虐的に自分に准えた映画であるそうだ。
タイトルの「アキレスと亀」は古代ギリシャの哲学者ゼノンが唱えたパラドックスから引用。
「人の評価と本人の認識の違いを集約した」と、映画監督としての自分の失敗と反省の念を含めた。
「HANA-BI」でベネチア国際映画祭金獅子賞受賞を始め、北野映画は海外での評判が高いが、
国内では興収28億円を稼ぎ出した「座頭市」以外芳しくない。
今回はマジメにドラマを撮ると怪気炎を上げている。
壮年期の夫婦をビートたけし、樋口可南子。若い頃の夫婦を、柳憂怜、麻生久美子が演じる。
監督第2作「3-4x 10月」では本名の小野昌彦名義で主演し、
この後数々のホラー映画に出演し、独自の味を出している柳ユーレイが18年ぶりに北野映画に出演し、
今回の作品から芸名を柳憂怜に改名。
「名前を変えて、台湾のスターと間違えられたらもうけもん」とたけし自ら改名を勧めた。
北野監督の気合はこれだけではない。
これまで描きためていた自作の絵画70点を作中に盛り込んでいる。
「HANA-BI」では、自作の絵画も登場し、映画の公開にあわせ展覧会を開催、
大成功を収めているだけに、芸術家・北野武を至高の域に高められるか。
大きく当てるより、中小規模・ミニチェーンを組んだ方が無難だと思う。
橋口亮輔6年ぶりの新作「ぐるりのこと」や、是枝裕和監督の新作「歩いても 歩いても」だって
ミニチェーン編成を組んでいる。
秋公開を選んだことは、映画館街が一番冷え込む時期に注目を集める企みがあるのでは。
秋公開でミニチェーンは注目を集めやすいからね。
ミニチェーンならではの発想をフル活用した方がいいと思うぞ。<森プロデューサー