一味違った藤田まことの熱演に感動。
日曜日、「明日への遺言」をなんばパークスシネマで鑑賞。
<両氏のサイン入りポスター。
戦争文学の第一人者である大岡昇平の「ながい旅」を原作に、
「博士の愛した数式」の小泉堯史監督が構想15年をかけて映画化。
第二次世界大戦終了後、戦争末期に名古屋を空爆した米軍捕虜を処刑した責任を問われ、
(米軍機には空爆とは無関係の人間がいたにもかかわらず、捕虜全員を処刑した事に対し罰せられた!)
B級戦犯として裁判にかけられた岡田資(たすく)中将が自身の命令責任と信念を貫き通し、
人としての誇りとは何かを考えさせる作品で、
ワタクシはゆったりした座席で座禅組んで鑑賞しました。泣けました。感動しました。
パブロ・ピカソの「ゲルニカ」の絵で始まる衝撃的なオープニング。
(現在は池袋サンシャインシティに再開発されている)巣鴨プリズンの独房と、
軍事法廷でのやりとりが主ですが、シンプルなのに構成がしっかりしていた。
岡田中将を演じた藤田まことも、中村主水、安浦刑事とは一味違う演技を見せてくれて、印象深い。
ワタクシにとっての藤田まことは、中村主水の印象が深かったんですが、
この映画を見て、「アンタッチャブル」のショーン・コネリー級の存在感を見せ付けられました。
バーネット検察官を演じたフレッド・マックイーン(スティーヴ・マックイーンの息子!)や
フェザーストーン弁護人を演じたロバート・レッサーとのやり取りも印象深かった。
加古隆のスコアも映画に深みを与えてくれたしね。
ここまでくるとお堅い映画の印象を与えかねないが、長女夫婦の間に出来た孫娘を抱くシーンや、
(きわどい箇所もあった)巣鴨プリズンの入浴シーンがいいガス抜きになった。
ワタクシは小泉監督の作品をデビュー作から全部見ている。
小泉監督は長きに渡り黒澤明監督に(助監督で)師事してきたことから、
「黒澤明の後継者」と銘付けられることが多いが、ワタクシは違うと思う。
黒澤明みたいな豪快さも無く、エゴイストではないし、地味。
だが、彼ならではの深い味がしっかり出ている。これがいい所だと思う。
今年に入り「母べえ」に続く深みのある映画を見て良かったと思うね。