ジャンルの枯渇も衝突の原因。
人気漫画「弁護士のくず」を巡り、内田雅敏弁護士(東京弁護士会)が「自分の小説の盗用」と連載差し止めなどを求めた問題で、漫画家の井浦秀夫さんと連載誌を発行する小学館が20日会見した。井浦さんらは内田弁護士の著書を参考にしたと認めた上で、「著作権が及ぶのは具体的な文章表現だけ。記載されているのは実際の事件で、参考にしても著作権侵害には当たらない」と主張した。
(毎日新聞 2月20日21時00分配信分より一部引用)
ワタクシの見解から見て、今回の問題はいくつかのポイントが挙げられる。
◆法律監修の弁護士がついているか否か。あるいは”名義貸し”なのか。
本格的な法廷漫画なら、弁護士が法律監修で参加し、漫画作品作りに貢献している。
携わっている弁護士なら、著作権法にも詳しいはずだし、
内田弁護士の著書を参考にした場合、OKとNGの区別が分かると思うんだよね。
また、漫画作品の場合、扉絵の作者クレジットの近くに、
法律監修の弁護士の名前もクレジットされていますが、
法律監修の弁護士の名前を入れるのは、読者に対する説得力が強いことを悪用して、
”名義貸し”ということも否めない。
◆小学館側の対応の不備も問題。
普通、漫画作品で使用した書籍・映像作品の資料は、作中に参考文献の表記をつけることが原則。
ついていないと裁判沙汰になる。
今回のケースでは、内田弁護士の著書を参考文献として使ったのか使っていないのかが問われる。
もしこれで内田弁護士の著書を読んで、一部を引用と言うのなら、小学館側の対応がお粗末だったと。
「知らなかった!」では済まされない問題です。
今回の訴訟では、漫画で扱うジャンルの枯渇も問題になっているんだと思う。
手塚治虫の登場以降、今日まで、あらゆるジャンルの漫画が登場しましたが、
ここ最近はジャンルが似たり寄ったりの作品が横行している。
読んでみて、「コレはあの漫画のパクリだ!」が頻繁にあると思うだろ。
頻繁になっているということは、扱うジャンルにも限界が来ている。
鉱脈を探しても、すでに掘り尽くした状況だということ。
今の若い漫画家は、10代の頃に読んだ作品に影響を受け、
プロになり、その作品より上を追い越そうと、更なる創作活動に勤しむ。
これが善意あるパクリなら、黙って目を瞑るが、
悪意のパクリだったら、永久追放モノやね。