ヤッターマン、ガンダム、仮面ライダー・・・地デジ本格化を見据えて。
2011年7月24日をもって、地上波のテレビはデジタルに完全一本化される。
子供向けコンテンツも、地上波デジタル時代に向けて挑戦を繰り広げている。
最近のケースで言うなら「ヤッターマン」でしょう。
30年前の1977年1月から2年間、フジテレビ系土曜6時半に放送された「ヤッターマン」は
前作の「タイムボカン」(’75)より引き継がれるタツノコプロ制作のタイムトラベルアニメとして人気を博し、
以後「ゼンダマン」(’79)「タイムパトロール隊オタスケマン」(’80)「ヤットデタマン」(’81)
「逆転イッパツマン」(’82)「イタダキマン」(’83)がフジテレビ系で放送され、
’00年、テレビ東京系に移って「怪盗きらめきマン」が制作された。
今年放送30周年を記念して、本日1月14日(以降毎週月曜)夜7時より日本テレビ系(読売テレビ発)にて、
完全リメイクで放送開始する。
タイムボカンシリーズの魅力は
①シリアスとギャグ、柔剛兼備のストーリーセンス。
②山本正之(音楽)大河原邦男(メインメカデザイン)小山高生(脚本)と、
後に日本のアニメ界を引っ張る人材を多く輩出。
③小原乃梨子(お色気担当)、八奈見乗児(頭脳担当)、たてかべ和也(怪力担当)が演じる
”悪玉トリオ”の軽快なコンビネーションに、
”悪玉トリオ”にお仕置きを下す影のボス役の滝口順平も魅力に一役買ってくれた。
この3つが絶大な人気を大きく支えた。
前回の「怪盗きらめきマン」では放送当時、制作現場のデジタル化が徐々に進む中、
フジテレビ放送時代のザラザラ感を再現し、アナログ色が強かったが、
今回は地上波デジタル時代の到来にあわせ、16:9のハイビジョン仕様で完全リメイク。
ストーリーは現代的に合わせているが、不変的な魅力をそのまま残し、
”悪玉トリオ”と影のボスの4人以外、声優陣を一新。
ヤッターマン1号→吉野裕行、ヤッターマン2号→伊藤静、オモッチャマ→たかはし智秋、
ナレーション→山寺宏一
あのオープニング曲は、世良公則&野村義男のユニット「音屋吉右衛門」がブルース仕様でカバー。
エンディング曲はミヒマルGTが担当。
現場の完全デジタル化とステレオ化で、地上波デジタル時代に合わせた「ヤッターマン」が蘇る。
地上波放送のデジタル化を見据えたといえば、「機動戦士ガンダム」や「仮面ライダー」も同じ。
現在放送中の「機動戦士ガンダム00(ダブルオー)」は’01年の「機動戦士ガンダムSEED」、
’03年の「機動戦士ガンダムSEEDデスティニー」より引き継がれる
MBS・TBS系の21世紀版ガンダムシリーズとして評判が高い。
’98年の「∀(ターンエー)ガンダム」までは富野由悠季総監督の意向で、
セルアニメにこだわりを見せていたが、21世紀版ガンダムシリーズでは、制作現場が完全デジタル化。
ステレオ音声も圧巻で、出演声優の人気も手伝って、新たなファンを開拓した。
ストーリーの持つテーマもガンダムシリーズの魅力である。
「機動戦士ガンダム」が放送された頃(’78)はベトナム戦争終戦が覚めやらぬ頃に放送され、
富野由悠季総監督は勧善懲悪的展開から、戦争の惨さ、残酷さを全面的に押し出した。
※これ以降「キャラ殺しの富野」の異名を持つことに。
21世紀版ガンダムシリーズの第1作「ガンダムSEED」は、NY同時多発テロより1年が経過して、
テロからは憎しみしか生まれず、報復は戦争を呼び込むことを視聴者に訴えた。
「ガンダム00」はエネルギー問題が背景になっており、エネルギーの所有権を巡る戦いに、
4体のガンダムを持つ中立的機関が武力をもって仲裁する話。
一方の「仮面ライダー」は、原作者である石ノ森章太郎の没後の’98年に
「仮面ライダークウガ」が放送され、以降、テレビ朝日系で「平成仮面ライダーシリーズ」として、
アギト、龍騎、555(ファイズ)、剣(ブレイド)、響鬼、カブト、電王と続き、
そして1月27日より放送される最新作の「仮面ライダーキバ」と続く。
平成仮面ライダーシリーズは東映特撮ヒーローシリーズ史上初めてハイビジョン撮影を導入。
ハイビジョンだからできるデジタル合成や3DCGが、新たな魅力と迫力を生み出した。
映画を思わせるレターボックス(上下に黒ぶち)も魅力。
地上波デジタル放送の完全移行もあと3年半。
放送のデジタル化は、子供向けコンテンツにとっては追い風になる。
ゴールデン枠の30分枠確保が困難になるという放送枠の問題は解消されないままですが、
魅力的なソフトになることは間違いない。
今年は夏の北京夏季オリンピック開催され、中継放送も完全ハイビジョンになり、
五輪需要で地デジ対応のハイビジョンテレビがバカ売れになることは間違いないだろう。
断言しよう。
ハイビジョン時代、子供向けコンテンツはいい鉱脈になる。