三池崇史は「監督・ばんざい!」な映画監督だ。
日曜日は慌しかった。
ワタクシとしたことが、うっかり二度寝してしまい、あわてて身支度を整え、JR茨木駅に向かい、
マイカル茨木にあるワーナーマイカルシネマズ茨木までまず、映画を見ました。
当初、「HERO」をTHX使用スクリーンで見ようと思ったが、興行収入ランキング初登場1位をとったため、
このフィーバーは当面続くなと感じ、スルー。
「包帯クラブ」を見ようと思ったが、例えコケても10月5日まで公開するからスルー。
(これぞブロックブッキング制をとっている東映邦画系の強み。)
で、選んだのが「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」。
堤幸彦と並び、もっとも多忙な映画監督である三池崇史監督の最新作は
源平の戦いをマカロニ・ウェスタン風味で仕上げた時代劇(か?)で、
しかも全編英語セリフ(日本語字幕付き)。
そもそもマカロニ・ウェスタンって何?と聞くと、イタリア製の西部劇。
正義感のない主人公に、残虐性、乾いた作風、激しい銃撃戦、印象に残る音楽。
これがマカロニ・ウェスタン。(しかもこれを命名したのが淀川長治さん!)
「西部劇の舞台は開拓中のアメリカだろ!」「欧州製の同じ白人が演じるパチ物」と思われがちだが、
舞台設定のほとんどが欧州の植民地時代に置かれていたメキシコ近隣などの中米あたり。
事実、一部の欧州人も当地では同様の文化風俗を共用していたことからスンナリ入れた。
マカロニ・ウェスタンの原点は黒澤明にあったのをご存知だろうか。
マカロニ・ウェスタンの先駆的作品となった「荒野の用心棒」は「用心棒」が原案だし、
”本物”アメリカ製西部劇の代表作である「荒野の七人」は「七人の侍」をリメイク。
で、家族向けからR-18指定作品まで扱う作品が多彩な三池監督が挑んだのが今回の作品。
時代劇の魂は世界を一周し、日本に戻ってきた。そして、時代劇と西部劇を融合した作品は
偉大なる巨匠・黒澤明へのオマージュと捉えた方が良いのでは。
平家ギャングと源氏ギャングとの間の抗争に巻き込まれ、荒廃していった寝畑(ねばた)村。
その寝畑村に現れた名も無きガンマン。
この村に眠る埋蔵金を巡るバトルが展開されます。
伊藤英明、「海猿」の時よりカッコよかったが、上半身裸のシーンが・・・
佐藤浩市、これまでにないエグいキャラが面白かった。
(オヤジである三國連太郎も「ひかりごけ」で人肉を食うエグさを見せた!)
伊勢谷友介、よほど狂っていたぞ。
石橋貴明、ガドリング砲をぶっ放すシーンは良かったが、この後のシーンは・・・いただけない。
この映画を見て、三池崇史こそが「監督・ばんざい!」な映画監督だってことを感じました。
驚くほどのハイペースで映画を作り、しかも作品の完成度が高い。
風呂敷を広げすぎたことで、パフォーマンスの低下が懸念されますが、この作品に限っては別。
単なるお遊びやシャレではなく、作品自体が本気モードだったことに凄みを感じました。
だが、ウケは賛否両論です・・・。のでお早めに。(洋画系は突然の打ち切りも当たり前。)