副題つけるなら「アメリカ医療界の病んでる面々」
この後ワタクシは近鉄大阪線で近鉄八尾から布施へ移動。
布施ラインシネマの南館までマイケル・ムーア最新作「シッコ」を見に行く。
まず、「シッコ」というタイトルはオシッコを意味するスカト○映画ではない。
Sickoは病人、狂人、変人などを揶揄するスラングである。
ワタクシが勝手に副題をつけるなら
アメリカ医療界の病んでる面々
としたほうが正しいのでは。
このドキュメンタリー映画は、”地獄の沙汰も金次第”なアメリカの医療システムに
真っ向からメスを入れた作品ではあるが、ムーア作品お得意のアポなし取材をあえて封印し、
ムーア監督の公式サイトでアメリカ医療システムの”被害者”からの告白を募り、
それを元に製作したリアル・エンターテイメントである。
日本の国民健康保険のような政府主導の医療保険システムが、アメリカにはなく、
民間の医療保険に委ねているため、加入拒否や保険料支払い拒否が日常茶万事のように起こっており、
保険が原因で、救える命が救えられずに亡くなった人間が、貧民層・老人層・黒人層を中心に増えている。
さらに民間の保険会社や製薬会社が政治家と癒着関係を持っており、
国民皆保険の理想とはかけ離れた泥仕合の様相を呈している。
この作品は3つのパートに分かれている。
①アメリカの医療システムの被害者、民間保険会社のスタッフ、専属の医師の証言。
②カナダ、イギリス、フランスといった医療費が無料の国を取材。
③NY同時多発テロの救援で体を患わせてしまった消防隊員たちによるキューバ治療ツアー。
特に③のキューバ治療ツアーパートは、マイケル・ムーアよ、よくやった!と誉めたい。
NY同時多発テロを起こしたとされるアルカイダのテロリストが、
キューバ、グアンタナモのアメリカ海軍基地で手厚い高度治療を受けていることを知り、
これってキューバとは犬猿の仲であるアメリカ政府がアルカイダをかくまっているも同然じゃん!と
テロの救援活動で体を患わせた患者がグアンタナモのアメリカ海軍基地に
治療のため乗り込もうとするが、侵略と間違えられ、射殺されそうになり断念。
目的を変えて、キューバの医療機関を訪れるが、そこで見た光景に患者たちが驚いた。
その驚きは映画を見なければわからないし、「目的外で違法行為だ!」とほざくブッシュ大統領に
どこが違法なのか教えろよ!と言いたい。
当初、アメリカ医療界はマイケル・ムーアのアポなし取材を阻止すべく、様々な対策を講じたが、
それも空回りになってしまい、水面下でアメリカ政府がマイケル・ムーア抹殺に向けて動こうとしているが、
フタを明けてみれば、アメリカ本国ではドキュメンタリー映画史上第2位の観客動員を記録。
次期大統領選候補者も、健康保険制度を争点にしはじめるなどの反響を生んでいる。
マイケル・ムーアの勇気ある行動を侮辱する人間は、よほど障害者より頭が悪い。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」と見て、アメリカって住みにくい国やな~と感じました。


日本は住みにくい国。
アメリカはもっと住みにくい国。