人はなぜ、生きる権利を放棄したがるのか
全長:2790m
高さ:230m
海からの距離:66m
ジョセフ・シュトラウスの手により設計され1937年に開通したゴールデンゲート・ブリッジは
アメリカを代表する観光名所の一つであり、同時に世界最大の自殺の名所である。
映画の日の7月1日(日)は1000円で見れるということで、ダブルヘッダーを敢行し、
まずは梅田ガーデンシネマにて異色のドキュメンタリー映画「ブリッジ」を見る。
この映画はただ美しく映えるゴールデンゲート・ブリッジを映し出した映画ではない。
この美しく巨大な橋で、飛び降りた人々の肉親や友人たちの無念の思い、
さらには奇跡的に助かった人物の証言を交え、自殺という問題について考えた映画である。
(ワタクシはマイケル・ムーアのお陰でドキュメンタリー作品を見る機会が増えた。)
この作品は2004年~2005年にかけて、4台の固定カメラが捕らえた決定的瞬間の場面が多く出て、
映画の軸となるのは10代の頃からうつ病に悩まされ続けたジーン・スプラークが
歩行者専用通路を徘徊するシーンが頻繁に出てきて、
その間に残された親族や親友、命を取り止めた人、
(これから自殺する人間から見たら)余計な”おせっかい”をかけた人間が証言し、
さらに、橋から飛び降りた決定的瞬間の映像も入れた衝撃作。
しかも、自殺をしようとする人を目撃しても、スタッフは”見て見ぬフリ”の状態で警察に一切通報しなかった。
こういった映画での倫理的問題も波紋を呼んだが、作品の本質の存在も忘れないでもらいたい。
この映画を見て、生きる権利を放棄した理由が、
うつ病に代表される精神的な病気が大きくかかわっていたことも衝撃的だった。
この映画を機に、これから自殺をしようとしている人間が一人でも多く救われればいいのだが、
いかんせん、R-15指定のため、いじめに悩まされている小中学生が見られない。
絶対見とくべき作品なのに、なぜだ。
ゴールデンゲートブリッジの欄干を乗り越え、生きる権利を放棄する人間は、
今なお世界最多である。
今日もまた、水面にたたきつけられた音がサンフランシスコの空に虚しく響こうとしている・・・。


