「大日本人」はとてもおいしい作品だった!
松本人志はお笑い職人、あるいは、笑いの求道者である。
「ダウンタウンのごっつええ感じ」や「夢で逢えたら」での完成度の高いショートコントで多くのファンの支持を得、
「頭頭(とうず)」や「ヴィジュアルバム3部作」でビデオだけの笑いを探求し、
入場料金1万円のコントライブや、前代未聞の日本武道館料金後払い制ライブを敢行し、
日本テレビの土屋敏男氏の強引な依頼を受けて、
アメリカ人を笑わせる目的で、全編英語によるショートコントムービー「サスケ」の製作や、
「ザッサー」をインターネット限定配信させるなど、さまざまなフィールドで笑いを探求。
(笑いの求道者ゆえに、たまにスタッフとの衝突が多く、収録ボイコットも実際あった!)
だが、映画だけは98年に刊行した「松本人志 愛」の中で、映画は手がけないと公言していた。
それが、人生ゲームでサイコロを振って”映画を撮る”のコマに止まったように、映画を製作した。
構想に5年、忙しい合間を縫って撮影に8ヶ月を費やした。
そしてベールを脱いだのが、「大日本人」である。
本日、なんばパークスシネマまでこの映画を見に行ってきた。
この日のなんばパークスシネマでは、「大日本人」が2スクリーン体制で公開されていた。
(近くになんばグランド花月をはじめ吉本興業の関連施設が多く点在しているせいだろうか。)
この映画はドキュメンタリー番組を収録する設定で敢行され、
先祖代々から電流を浴びると巨大化し、大日本人として獣と戦う大佐藤 大(まさる)に密着。
かつては英雄だった大日本人も、今となっては戦闘災害の槍玉にされる始末。
でも、獣が現れると戦わなくてはならない。という話。
お笑い版「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」とでも言ったほうがいいだろう。
VFXをふんだんに取り入れた戦闘シーンと、大日本人の地響きの重低音に凄みを感じ、
竹内力、神木隆之介や、「自分、松竹(芸能)の人間なのになぜ?」とタメライつつ演じきった海原はるかの
”獣”役の怪演に拍手を送りたい。
無論、松本人志らしい演出も健在。
新宿副都心での板尾創路やFUJIWARAの原西とのやりとりや、
クライマックスの赤い強敵打倒に助太刀してきたスーパージャスティス一家のパートが、
いかにも松本人志らしい。(スーパージャスティスのパートは「え?こんなのありかよ!?」な展開にワロタ!)
これは映画というより、この映画自体が松本人志がこれまでやってきたことの延長線として捉えたほうがいい。
松本人志が創造するヒーロー像に、エッセイで繰り返し述べてきた日本社会への不満を織り込み、
笑いを掛け合わせた映像作品としては、個人的にはツッコミだらけだけど、
松本人志の言うとおり「おいしい」ことだけは保証できる作品でした。
でも、”本物の”ドキュメンタリー映画が好きな人間はあまり・・・お勧めできないでしょう。
何かにつけてこの映画を批判する批評家気取りの人間は、
自分がこの世に生を受けたこと自体間違いであることに気づいていない。
映画館へ行って、目ン玉ひん剥いてよー観てみろ!!!
それでも理解できなければ、今すぐ首吊って逝ってくれ。
ワタクシは、いかにも松本人志らしいアオリ文につられて映画のパンフレット(700円)を購入。
<封筒に入っていてて、上映前に絶対に開封しないように!
でも、中身は700円の価値に合わない情報量の薄さで、損したなと感じました。
もっと詳しく知るためには同時発売の大日本人オフィシャルガイドを読むことを勧めよう。
<松ちゃんのビジュアルが大日本人そのものだとは気づかなかった!