最新シネコンでダブルヘッダー②「オカンとボクと、時々、オトン」
「北斗」の後、1時間のインターバルをはさんで、次は「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。
流浪のイラストレーター、リリー・フランキーの泣ける自伝的小説を映画化。
小説でよかったとつくづく思った。
みうらじゅんの「アイゼン&ティティ」や、花くまゆうさくの「東京ゾンビ」は
マンガでしか出せない味だったが、
リリー・フランキーの作風でマンガになっていたら、反応は違っていただろう。
ここで書かなくてもわかるとおり、とにかく泣けます。感動した。
雑誌連載時、リリー・フランキーに映画化のオファーを送りつづけた松岡錠司監督の自信と、
リリー・フランキーと同世代で同郷の松尾スズキの気持ちのこもったシナリオが融合し、
TVや舞台では出せない”味”を見事出してくれました。
オダギリジョーは、”ボク”こと、リリー・フランキーっぽさを見事に出してて、
”連ドラ版”の速水もこみちが”ボク”を演じるには無理がありすぎたなと感じました。
オカン役の樹木希林の温かみがあり、壮絶な演技に涙し、
若き頃のオカンを演じた実娘の内田也哉子も、演技経験ゼロとは思えないくらい素晴らしい。
優しい愛に包まれた1本で、見て損はない。
ところが、松岡監督は作中、3つの”あら”を見逃していたようだ。ヒントは・・・
①70年代、中学時代のボクが1年ぶりにオトンと一緒に乗用車に乗っている所。
②80年代前半、無職時代のボクが公衆電話をかけているところ。
※テレホンカード式公衆電話は’82年12月に導入したが、その頃の本体は・・・
③90年代前半、ボクと恋人ミズエが、東京に来るオカンを車で迎えに行く際の東京駅丸の内側。
映画を見る際は探してみ。