明治の元勲にして本田親徳翁の高弟であった副島種臣翁の「蒼海窓閑話」(明治31年12月)を御紹介したいと思う。解説については自説であり、本田霊学としての公式見解ではない。
 

 

 

蒼海窓閑話卷之上

『靈(ヒ)ハ元素ナリ。其位幽界二十五元素ノ中央ニ在リ。靈(タマ)ト靈(ヒ)ト漢字同シト雖、ヒトタマトハ其物不同ナリ。靈(タマ)ハ靈魂意識ヲ主トス。靈(ヒ)ハ意識ナシ。
』(『副島種臣全集3』)

 

本田翁は「古事記神理解」で

『乃汝者自右廻逢我者自左廻逢
コレハ幽ノ霊二十五、顕ノ霊二十五ト互ニ左右旋シテ万物ヲ生ミ玉ヒシソノ始ナル故ニ、此処ニハカク記サセ玉ヒシモノ也。人間ノミノコトニ非ズトシルベシ。此ノ顕体生々ノ元理ナルユエニ今コヽニソノ神理ヲ尽スコトアタハズ。別ニ五十霊七十五ノ本教等講明スルノ時ヲ侯ツベシ』

 

このように書かれているが、五十霊七十五の本教を講明されたという文献は現在の処発見されていない。故に翁の五十音図を頼りに思案する他ない。

 

佐藤先生の「顕神本田霊学法典」には、左旋、右旋について
『神界に於いては、左旋を先に、右旋を後に。現界は右旋を先に、左旋を後と致して合わせ鏡なり、左は霊、右は体なり、神界では左を尊ぶ。』とある。

 

この左旋右旋については、佐藤先生や大久保先生に何度となく質問させて頂いたが、理屈ではある程度わかった気になっても、霊的な実感というか、体験的な悟りの域に至れなかった。霊学を志してそろそろ50年近くなるが、未だによくわからない。恐らく神界のお許しがなければ無理なのだろう。