植木等と用賀駅 | gayasan8560のブログ

gayasan8560のブログ

趣味の鉄道、街歩きネタを中心としたブログです。鉄道については、主に歴史的視点からの記事が多いです。

映画ファンの人には邪道と怒られそうですが、一昔前の邦画を観る楽しみの一つに背景に写りこむ鉄道や鉄道施設を探すことがあります。渥美清の喜劇列車シリーズなどはその最たるものですが、例えば松本清張原作の作品などにも多くの鉄道が写っています。例えば1961年封切りの「ゼロの焦点」で北陸鉄道能登線に主人公が乗り込むシーンとかが印象に残っています。

 

先日、某映画専門チャンネルで放送されたクレージーキャッツ出演の「クレージー作戦 先手必勝」(1963年封切り)では、玉電用賀駅から引き込み線が延びていた空き地(資材置き場)でロケをしていることが、ロケ地探求をされている方の調べで明らかになっています。早速、私も録画してその場面をチェックしてみました。

 

「クレージー作戦 先手必勝」:1963年封切り、クレージーキャッツ全員が出演した「作戦シリーズ」の第一弾作品。

 

 

主人公たちが喧嘩をしている空き地。すぐ脇に見える線路は、玉電用賀駅から延びていた引き込み線。

 

同じ喧嘩シーンを人物達に寄った絵で。左側にレールがはっきり見えます。

 

別アングルからの喧嘩シーン。線路は写っていませんが、後には「用賀新東宝」の看板のある映画館が見えます。この映画館は、現在のココカラファイン用賀駅前店のある場所にありました。このことから、喧嘩は丸い階段のある用賀駅北口あたりで行われていて、1枚目のアングルは、現在のバスターミナル越しに用賀ビジネススクエア方向を見ていることになりそうです。

 

ところで、玉電用賀駅から引き込み線の延びていた空き地(資材置き場)は、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

もともとは、戦時中に大橋車庫が空襲の被害を受けて車両が全滅することを防ぐため、車両の一部を疎開留置するために確保された土地でした。戦後も昭和30年代になると、新玉川線(現在の田園都市線の渋谷~二子玉川)の計画が持ち上がってきます。昭和34年に免許取得したのち、翌年に営団地下鉄の銀座線との直通運転と経路変更を行いました。そのときの書類には、銀座線の新しい車庫用地として、この用賀の土地を営団地下鉄に提供することが記されています。しかし、結局のところ新玉川線は、新たな地下鉄(東京11号線、現在の半蔵門線)との直通運転に計画変更され用賀の土地が車庫に転ずることはありませんでした。新玉川線工事の際には建設資材置き場として活用されたのち、現在の世田谷ビジネススクエアへと変貌を遂げていったわけです。