---以下、 International Business Times
ロシア同性愛規制でソチ五輪の人気急落
http://jp.ibtimes.com/articles/52572/20131222/791549.htm
記者:Bobby Ilich、翻訳者:臼村さおり 2013年12月22日 02時54分 更新
ソチ冬季五輪が約50日後に迫っている。世界的なスポーツの祭典「オリンピック」であるが、競技内容よりも政治的なことが注目される可能性がある。ロシアの同性愛規制が国際的な物議をかもしているのだ。
オリンピック憲章第50条では、選手が競技を抗議運動に利用することを禁じている。しかし、ロシアの同性愛規制に対する世界の感情を沈静化することは難しい。やろうと思えば、憲章を無視し、メディアの関心を引き付けることができるかもしれない。
オバマ米大統領は17日、米国の公式代表団の1人として、同性愛者である伝説的なテニス選手、ビリー・ジーン・キングさんを派遣すると発表した。それはロシアの同性愛規制への抗議と考えられる。同じく同性愛者であるアイス・ホッケー選手のケートリン・ケーホーさんや、フィギュアスケートの金メダリストであるブライアン・ボイタノ(Brian Boitano)さんも代表団に入っている。
ロシアのプーチン大統領は、同性愛者の選手も歓迎すると保証した。しかし、世界の指導者たちは、ソチ五輪から距離を置こうとしている。
ホワイトハウスは、オバマ大統領はスケジュールの関係でオリンピックには出席できないとの声明を発表した。ジョー・バイデン米副大統領とファーストレディーのミシェル・オバマ氏も欠席だという。フランスのオランド大統領、ドイツのガウク大統領もソチには行かない。リトアニアのダリア・グリバウスカイテ大統領は「ロシアの人権的なこと」のために出席しないと発表した。
2014年の冬季五輪は、選手のすばらしい競技ではなく、同性愛規制に対する抗議運動が、人々の記憶に残るかもしれない。
今まで、オリンピックが政治的な意志を示す場として利用されたことはあまりない。1968年に米国の陸上選手であるトミー・スミスさんとジョン・カルロスさんが表彰台で行った抗議運動などは稀なケースであった。
ソチ五輪で同性愛規制へのプロパガンダをする選手がいるとすれば、ニュージーランドのスピードスケート選手であるブレーク・スケラーアップ(Blake Skjellerup)さん(28)かもしれない。スケラーアップさんは自身が同性愛者であることを公開している。
スケラーアップさんは、2010年の冬季バンクーバー五輪に出場し、2010年に同性愛であることを明らかにした。まだ確実でないが、今回のオリンピックに出場できる可能性が残されている。
スケラーアップさんは、もしオリンピックに出場できたら、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー の尊厳を象徴する旗である「レインボーフラッグ」のピンバッジをつけるという。
スケラーアップさんがメダルを獲得できる可能性は低い。しかし、オリンピックに出場すれば、社会的な存在として際立つであろう。
一方、オリンピックで社会・政治的なことが目立つことを警戒する声もある。
2002年、ソルトレイクシティ冬季五輪のフィギュアスケートで銅メダルを獲得したティム・ゲーベルさんは、オリンピックの精神は政治とは分離したものであるべきだと言う。ゲーベルさんは、「あなたの国を代表しているのですよね。それは政治声明であってはなりません。チームや国に対して失礼です」と述べ、選手は自身の信条を表現することを控えるべきだとの考えを示した。
また、ゲーベルさんは、ソーシャルメディアによって、スポーツ選手の見解が注目されやすくなっていることについて、「ツイッターのつぶやきも(オリンピックが終わるまでは)控えるのが賢明でしょう。プレッシャーや緊張状態の中で不用意な発言をすると、後で後悔をすることになるかもしれません。もちろん、そうならないことを願っていますが」とコメントした。
テニスのマルチナ・ナブラチロワさんとNBAのジェイソン・コリンズさんは、IOCに同性愛のスポーツ選手をサポートするように要望を出している。 *この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。