逆転のトライアングルにかける時
第5章 時代に逆らった”鉄の女”の過ち
エマニュエル・トッド
- 今人類は歴史上特に重要な時期にいる
- 大きな危機にいるがアメリカの危機は以前から見られていた
- 私が今日驚いているのがイギリスの危機だ
- イギリスは17世紀~18世紀から近代の母だった
- 歴史学者にとっては興味深い時代だ
- 退職したら退屈だと思っていた
- 私は71歳で退職する年齢だ
- しかし一人の人間として心配している
ダニー・ドーリング
オックスフォード大学 地理学教授
- 2022年 夏 野党のスターマー党首が演説をした
- ”野党・労働党の目標は 成長 成長 成長”
- これに対して私は批判記事を書いた
- イギリスの成長率は減速が続きそのペースは他の欧州諸国より早い
- 成長の恩恵を得るには時間がかかる
- えられる兆しはない
- 興味深いのは記事を発表したころにトラス新首相が保守党大会で”成長”を連呼した
- ”経済を成長させることで戸にをよくします”と・・
- そして”ミニ・バシェット”が9月に発表されると
- イギリスは大混乱に陥った
- 欧州で最も危うい経済の一つになってしまった
- 政治家による成長重視の政策とレトリックのせいでね
- フランス革命の”ケーキを食べればいいじゃない”と同じだ
- 手に入らないものを掲げて貧しい人々を黙らせている
- 成長に約束など何も意味がない
フィリップ・アギヨン
コレージュ・ド。フランス 経済学教授
- 資本主義はイギリスではじまりアメリカに広がった
- イギリスの産業革命から成長が始まった
- 成長の条件がそろったからだ
- 累積的イノベーションとイノベーションによる権利
- そして創造的破壊 19世紀のイギリスにはすべてがそろっていた
- 累積的イノベーションのための大学
- 体系化された知識である百科事典が可能にした
- そして財産権が保護されイノベーションによる権利が保障されていた
パックス・ブリタニカ
ダニー・ドーリング
- イギリスはアメリカの前に世界を支配していた国だ
- 世界で最も豊かで地球を支配する海軍を持つ国だった
- 現在の国連加盟国の9割に侵攻あるいは足を踏み入れた
- 和が国イギリスは100年前のアメリカだった
世界は石炭から石油へ
パックス・ブリタニカ⇒パックス・アメリカーナ
ジャック・アタリ
- 英米は1940年代の恐ろしい状況を生き延びた
- 彼らが母語とする英語は世界のベースとなっている
- 素晴らしい金融セクターという確固たる産業基盤が今もある
マーガレット・サッチャー
- 前労働党政権は、どの政権よりも急速で大幅な物価上昇を招いた
- 生産を増やせば物価は抑えられるのだ
- ⇒ 国有企業の民営化
- ⇔ 成熟した経済は物を作れば売れるというものではなかった
フィリップ・アギヨン
- 彼ら彼女らはともに過度に自由な資本主義モデルへと突き進んだ
- レーガンとサッチャーは特にそうだ
- 良いイノベーション・エコシステムがあった一方個人は守られなかった
ジャック・アタリ
- イギリスはかつて大国だったし今でも大国かもしれない
- だがEUにとどまることも選択できたはずだ
- 今ではアメリカの植民地、アメリカ帝国のほんの一部だ
第6章 ”気分の国”
の成功の代償
ウィリアム・マグヌソン
テキサスA&M大学ロースクール 准教授
- テキサス州フォートワースには石油大手が集まっている
- このビルには石油大手の事務所と法律事務所が入っている
- 彼らはここ数年 莫大な利益を得ている
- テキサスは石油や天然ガスの生産が盛んだ
歴史は繰り返す
- 1973年の石油禁輸では突然エネルギー供給が大混乱に陥った
- 突然石油価格が高騰して突然インフレが加速した
- それが現在繰り返されている
そこから学べることは?
- 需要に柔軟に対応席る企業が存在することで社会への損害は減る
- 世界情勢の変化に応じて需要・供給を調整できれば被害は少なくなる
- 企業は相応の動機と利益があれば必要な石油やエネルギーを調達する
1072年 日本列島改造論
1973年 福祉元年
1073年 オイルショック
狂乱物価
野口悠紀雄
元大蔵省 一橋大学名誉教授
- 日本政府がとったのは総需要の抑制策だった
- それまで進めていた公共事業を延期した
- 需要を縮小して物価を抑え込んだ
- 膨らんだ財政政策をストップさせた
- そして賃上げを抑制させた
- 賃金を上げると会社がだめになってしまう
- 会社がだめになれば労働者も沈没する
渡辺努
元日銀 東京大学経済学部教授
- オイルショック時の日本の協調力がうまく働いた
野口悠紀雄
- 国民の一体感ではなく企業の一体感だった
- 企業が一つの家族であるという考え方だった
- 企業別の労働組合が形成されたのは戦時中だった
- これが日本の戦後の経済を支えた
⇒ 戦後の企業別労働組合が一体となって低賃金で乗り切った
第二次オイルショックも欧米に比べてダメージは少なかった
日本の民営化路線
小幡績
- 共同体的体制だったのでうまく乗り切れた
- 一方で自分たちの良さでオイルショックを乗り切った後バブルを作った
- 全て台無しになってしまった
森田長太郎
SMBC日興証券 チーフ金利ストラテジスト
- 欧米は1970年ごろの時点で経済成長の限界に当たっていた
- その中で社会構造を変えていく方針
- 少子化・高齢化への対応
- 日本は遅れてきた先進国⇒1979年代の成功体験
- 経済大国であるとの認識を持った⇒欧米より遅れた経済大国
小幡績
- もともと共同体のような価値観を残した日本は空気を読んだ
- システムは存在しないのに自分の身を守るために空気を読んでいた
- 誰もシステムのデザインをしないで何となくの物が底にあった
- 意思決定しない、思考しないという方向に逃げ込んでいる
- 日本の企業の成功は資本主義ではなかった
- 資本主義=資本が主役 資本が世の中を動かす
- 起こす起業家ではなく、企てる企業家が必要である
- 日本では近代資本主義は成立していなかった
- 近代資本主義の末期の現在、日本が負けるのは必然だった
ものづくり⇒金融
小幡績
- 新しい社会の中で日本の社会を立て直さなければならない
- 日本の社会システムをデザイしなければならない
- そのデザインする能力がこの30年で失われてしまった
- 社会システムのデザイナーをこの30年で失ってしまった
森田長太郎
- 10年に一度、金融危機が起きれば2060年代に300%になる
- 危機のたびに大規模財政支出をやる
- その後、削減もやらない
- 日本の場合過去の分析をきちんとやってない
- なぜ日本の政府債務がここまで膨張したのか反省していない
誤字すみません!