兄の彼女はいつも別嬪さんばかりだったが(^^;
その当時の彼女はボウラーだった。
プロを目指していた。
その彼女にも教えてもらった。
兄は勉強は落ちこぼれたが
地頭は兄弟で一番だった。
『お前、相似形ならったやろ?』
『うん』
『ボウリングは相似形や。
ファールラインからスパットまでと
スパットからピンまでは1:3や』
『おー!』
『そやから、ブルックリンに今は入ったとすると、
10枚くらい右に調整せなあかん。どうしたらいい?』
『えーっと・・スタンスの位置を右へ寄る?』
『そこから同じスパットに投げたら
もっと左へ行ってしまうで』
『あ、逆か』
『そう!左へ寄る!で、何枚?』
『わかったで!ピン前で約10枚やから、まぁ3枚かな』
『やってみ』
てな感じなのだ。
ボールはポケットに吸い込まれるように入って行って
ピン全部をぐしゃ!と潰した。
スプラッシュストライクやんか!
お前、うまなるぞ!頑張れ!
一応受験生だったので
練習はほどほどにした。
で、兄はその後
プロテストを3度受けるが
結局合格できなかった。
2回目はあと数ピン足らずで落ちた。
先ほどの師匠にあきれられたらしい。
そんなことじゃ、プロではやって行けん!
と言われたそうだ。
兄は阪神間のアマチュアでトップだった。
でも、自分より下のボウラーに
どんどん先を越されたのだった。
一度だけ『見に来て』と言うので
プロテストを見に行った。
多分あの時は合格すると確信していたのだろう。
72ゲーム、アベレージ200!
ストライクを出しても
場内はし~~んとして
ボールを投げる音しか聞こえなかった。
見ているこっちが緊張した。
終盤になって兄はロースコアを連発し
結果、数点足らずで落ちた。