単なる懐古ではなく | 中学受験を見直したい(隊)+α

中学受験を見直したい(隊)+α

このブログは、中学受験を考えているけれど、『少しおかしいぞ』とか『問題ありでは?』とお感じの方には役に立つブログです。偏差値をあげたい、〇〇中に合格するにはどの塾がよいか?…そのような方のお役は立てそうにありません。

私が塾を開業したのは二度目である。
初めの塾は20年前。

今とは色々な事情が違っていた。

子ども達の様子も当然違っていただろう。


私は、いつも子ども達に、

人としての道理とか、常識とか、他者への思いやりとか、

勉強以前の問題をよく説いた。

子ども達は、それに応えようとしてくれた。
勉強ができる前に、心ある人間になってほしかったのだ。

親たちの中には、そんなことに無関心な人も少なからず居たが、それは無理もない。
現実、どこかに合格させて塾はなんぼであるのだから。

 

当時居た、ある女の子の話だ。
行きたかった中学の入試で不合格になった。
合格発表の場所から泣きながら電話を掛けてきた。
とにかく塾に来るように言って、電話を切った。

教室まで1時間。泣き通しであったらしい。

話しをして、やっと落ち着きを取り戻した。

まだ、明日も入試があった。
 

返事はするが、顔は上げない。まだ泣いたままだ。
その子が、どれだけその入試にむけて情熱を傾けていたかがわかる。

やっとのことで、話が終わり皆で席を立った。
その子は靴箱に向かい、靴を出した。
自分のではなく、お母さんの靴を先に出した。
私はそれを見てぐっと来てしまった。


そして、お母さんにこう言った。

『お母さん、こんなつらい時にこの子はこれができる子なんです。学校なんてどこに行ってもこの子は大丈夫ですよ。いい子に育ちましたね。』と。

こんどはお母さんが泣き崩れた。

いま、その子はどんな大人になっているだろうか。
音信が絶えて久しい。
私はこういう場面に立ち会わせてもらえて、幸せな人間である。

たった20年やそこらで、世の中は変わってしまった?
私はそうは思いたくない。

 

優秀である前に、良い奴になってほしい。

願いは一つだ。