あるご家庭が子どもに中学受験をさせようと思い始めるのはいつなのだろうか。
私が塾というフィールドで働きだしたのは今からもう40年以上前のことだ。
まだ大手進学教室なんてなくて、むしろ全国の大都市に大きな教室を持っている塾が目立っていた。
お受験もあったが,お受験塾はなく、幼稚園から受験するという形であった。
それから随分な時を経た今、事情は大きく様変わりしてる。
受験も学校もほとんど変化していないのだが、事情が様変わりしている。
何かというと中学受験の準備が低年齢化したことだ。
このブログでは大手進学教室のことを色々挙げているが、実はその手前の“お受験塾”もそれに負けず劣らず、賛同できないようなことをしている。
ごく少数の人達が、警鐘を鳴らしているが、焼け石に水。
早い者勝ち敵は安易な発想で、小さい頃から難解なものをたくさんさせている。
あるお受験塾は大手進学教室と提携し、お受験が終了した子はしばらくそこで中学受験の基礎を6年生範囲までやってしまうという。
そして3年からは提携先の大手進学教室に移るという寸法である。
そして、大手進学教室では、最高レベル特訓などといういかめしい講座を受けるように煽動する。
中身は昔に作った同講座のストックなのか。とにかく進度が速い。
ここに、大きな落とし穴がある。
小学校の3年から4年というのは、具象論からそろそろ抽象論に入って行こうかという発達段階なのである。
それを全く無視し、低学年からどんどん抽象論をやらせるわけである。
するとどんなことが起こるのか。
大手進学教室に早くから通う子の相談を受けることがよくある。3年で入った時はよかったのに4年になって成績ががくんと落ちた。勉強の意欲も減退したようだ…と。
これはテクニカルな要素だけで解決できる問題ではない。
親は“今ちょっと調子が悪くなっているだけ”と思っているが、内実は多分そうではない。相当に傷んでいる。
その分野は誰もメスを入れていないけれども、問題は深く先行し、大きくなっている。
挑発的に聞こえるかもしれないが、中学受験によって、逸材をたくさん潰していると私は思っている。