1 大陸でのフリッツ王家の末裔はジークだけなのか?

(1) 物語は,大陸残留王家血統の末裔はダイナ,ジークだけで,ダイナが無垢巨人にされて死亡(?)した後は,ジークだけという前提で進んでいる。

 でも,本当かしら?

(2) 物語の今後には全く影響しないかもしれないが,ちょっと考えて見た。

(3) なお,始祖ユミルの3人の娘のうち「始祖の王」を継承した娘(便宜的にシーナ)の血統がフリッツ家血統であり,「王家」は,このシーナ血統という意味で用いる。そして,そのシーナ血統が,ジークだけなのかという点を考えてみる。つまり,ローゼ血統,マリア血統が,準王家として,「始祖の巨人」の真価を発揮できる存在であるかどうかは別問題である。

2 大陸残留王家の末裔はダイナだけなのか?

(1) ダイナは,フクロウ(クルーガー)によって,グリシャらのお遊び復権派に遣わされ,お遊び復権派の地下活動に積極参加し,あっという間に,お調子者グリシャに心臓を鷲づかみにされて結婚してジークを産んだ(21-86「あの日」)。

(2) 単純な疑問だが,もし,ダイナが,本当に大陸残留王家のただ一人の生き残りなら,エルネットとしては,子作りに専念させるのではないか?エルネットが,フクロウ(クルーガー)に,ダイナをお遊び復権派に派遣させてお遊び復権派の危なっかしい地下活動に参加させたのは,ダイナの他に代わりとなる王家血統がいたからではないか?

3 種馬にされたジークの悲哀仮説

(1) 私は,エルネットはもちろんのこと,マーレもタイバー家も,ジークが王家血統であることを把握していると考えている。マーレは,ジークが巨人継承して1,2年のうちにジーク脊髄液の特殊性とジークの特殊能力を知り,数百人のエルディア人を無垢巨人兵器にして敵国都市壊滅作戦を実行している(28-112「無知」ニコロ発言)。マガトや巨人学会がジークの特殊性を王家血統と結びつけないはずはない。コルト発言「王家の血を引いているわけでもないのに」(23-93「闇夜の列車」)も,本当にコルトがそう思って言っているなら,コルトはあまりにも鈍感過ぎる。実際は,ライナー,ピーク,ポルコ,コルトだけでなく,ガビ,ファルコ,ウド,ゾフィアも,他の大勢も,ジークが王家血統なんだろうと分かっていて,タブーとして口にしないだけじゃないのか。

(2) マーレであれ,エルネットであれ,「王家血統がジークただ一人」などという事態は,怖くて仕方ないと思う。「ただ一人」であることがジークの強みになってしまうからだ。しかも13年寿命があり耐用年数は短い。当然,ジークの代わりの「王家血糖」の量産を考えるだろう。ジークにどんどん子作りさせる。

4 体外受精,人工授精について

(1) ざっくり言うと,体外受精は,女性の体外で,卵子と精子を授精させ,それを女性の子宮内に戻して着床させる方法,人工授精は,女性の子宮内に精子を注入してそこで卵子と授精させる方法だ。体外受精は,初の成功例が1978年と,比較的新しい生殖技術だが,人工授精の歴史は古く,1799年に英国で初めて成功している。

(2) 人間に先立ち,動物での人工授精が先行し,家畜での最初の人工授精は,1780年に発表され,第一次大戦前後になると,馬,牛,羊等で広く行われるようになった。人については, 1799年,英国で,腟内に射精できない男の精液を人工的に腟内に注入した結果,妊娠成立し児を得たのが最初で,1838年には,フランスで,14例中12例の妊娠例が報告されている。そして,その後も,人工授精の実施例の発表が続き,フランスでは,1920年以降,イギリスでは1943年以降,アメリカでは1930年以降に,急激に人工授精が行われるようになった。

(3) また。精子凍結保存も,1866年,-15℃に 凍結した精液を融解して運動性を回復したことが確認され,1938年には,-79℃,-196℃,-269℃に凍結した精子を融解させても精子が生存することが発表されている。精子の蘇生率は低かったが,一応,1900年代前半には,精子の凍結保存が可能な状態になっているわけだ。

5 ジーク精液による人工授精というグロい仮説

(1) マーレは,巨人化学学会というマッドな科学者集団がいて,脊髄液を抽出してはいろいろ研究しているわけだ。生殖に関する科学は,当然,折り込み済みじゃないだろうか。

(2) ジークが女性とベッドインしなくても,ジークを縛り付けて,あの手この手で精液採取すればいい。ザックレーの芸術椅子と双璧をなすような「それ目的の椅子」を作ったりして・・・。少年誌ではとても描けないようなあの手この手で精液採取しまくる。ケツ毛の数まで管理されるジークだし(23-93「闇夜の列車」)・・・。そして,採取した精子を冷凍保存しつつ,多くの女性の子宮内に注入して,数撃てば当たる方式で,どんどん妊娠させて子を作ればいい。

(3) ジークにとっては悪夢だろう。自分の精子がそのように遣われ,自身の13年寿命の後は,その精子によって誕生じた子が,王家血統の巨人を継承する。その子は,自分同様に,その特殊脊髄液により同胞のエルディア人を無垢巨人にし,「扱いやすい自動殺戮兵器」として号令を出し続ける・・・。

(4) グロい仮説だが,マーレとしても,エルネットとしても,ただ一人のジークに寄りかかるようなことは怖くてできない。「お前なんていつでも殺せる。代わりはいくらでもいる。」とう状態にしておいてジークを支配することを,当然,考えるのではないか。

(5) そして,ジーク自身が,こういう悲惨な扱いを受けていることが,ジークが「終わりにしたい」と強く願う根本にあるのでは・・・などと妄想するのだが・・・。

6 蛇足

(1) 大陸のフリッツ王家の生き残りがジークだけというのが,私には,腑に落ちなくて,こういうことを考えてみた。

(2) そして,マーレであれ,エルネットであれ,ジークではない王家血統の子を保持しているということになると,物語の展開も大きく変わってくると思うのだけれども・・・

以上