一旬驕話(ら):ドイツでは一ヶ月5000円の学生用パス

 

  ドイツでは区間限定のない学生用普通列車利用一ヶ月パス導入    

  今年910日の当ブログの記事「一旬驕話(か):1ヶ月49ユーロでヨーロッパ中の普通列車乗り放題ティケット計画で、ドイツでは今年は5月から一ヶ月49ユーロ(約7500円)で普通列車乗り放題ティケットが発売されていて、もしかしたらこれがヨーロッパ全体に広がるかもしれない、とお知らせしました

 

  この定期のもう少し安い学生版が来年末にも発売されると発表されました。このブログで時々紹介しておりますTAZという新聞の1128836分掲載記事です。オリジナルは https://taz.de/Einigung-auf-Semesterticket/!5976772/ で読めます。この記事は通信社の配信ですので、他の新聞でも同文で読めるかと思います。  

 

記事紹介 始め -----------                    ----------                    ----------

  学生用に一ヶ月30ユーロで全ドイツをカバーする学期間定期導入

  今年5月から近郊及び地域区間内ではドイツパスが通用しているのですが、来年夏にはドイツ国内をカバーする学生用パスが実現します。

 

  国と地方との当局者間で合意   

  来年4月からの前期(夏学期)から学生は今までのドイツパスの通常料金(49ユーロ、約7900)の6割に当たる29.40ユーロ(約4700円)で全国ティケットを利用できるようになる。連邦政府と各州とのドイツティケット調整委員会で長い間交渉を続けていたが27日に合意にこぎつけた。州交通大臣会議議長でノルトライン・ヴェストファーレン州のオリバー・クリシャー交通相(緑の党)が27日夜ドイツ通信社の質問に対して扉が開いたと伝えた。

 

  現在その数約300万人と言われている学生はドイツパスに基づいて学期ティケットを持てる。学生をまとめている全国学生委員会は(電車、地下鉄、鉄道など)利用可能な交通機関の運営組織と必要な協定を早急に結ばなければならない。 

 

  連邦交通相フォルカー・ヴィッシング(自由民主党)も「各州と学生用ドイツパスについて本日の合意に至ったのは大変喜ばしいことです。州交通大臣会議でドイツパスの経費に関する問題の解決が図られれば学期ティケットの合意にはもう何の障害もありませんでした。これによって多くの学生が低価格でのこの全ドイツに及ぶ措置で利益を受けるでしょう。」と表明した。

 

  社会民主党の交通政策広報のイザベール・カデマルトーリは、連邦と各州は「リダール・モデルでの全ドイツ学期ティケットが実現して」、規則的な予約者数の拡大に道を開いた、「しかも連邦と各州の負担を最小限に抑制することが出来た」と強調した。リダール・モデル(連帯モデル)は、支払制の公共交通機関のティケットへの財政的な支援にすべての学生が参加することを意味してい(栗山:リダール・モデルという単語にはいくつかの使い方があるのですが、ここでは多くの参加者の少ない負担で多くの人が連帯するとともに受益できる公共の保険的な意味です。この一文が書かれているのは、この意味での使い方を反映しているかと思われます)。

 

 

  現状では多くの学生学期ティケットを持たない    

  社会民主党青年部全国高等教育部会幹事会のマディタ・ラヘッタによると、過去数ヶ月間にわたって多くの学生は提訴の恐れがあることから次々と学期ティケット契約を解約していた、「それ故に49ユーロドイツパス導入により多くの学生は現状では学期ティケットを持っていない」し、学生は今は新たな提供を申請するか地域的な解決策を探るかまかされている。彼女はドイツパスの価格固定を求めている。学生用学期ティケットの基底となるドイツパスの価格が上がれば学生用優遇ティケットの価格も上昇することになるからです

 

  ショルツ首相と連邦交通相と各州交通相の間では財政問題の背景に関して、近郊及び地域区間内の鉄道とバスを対象としたドイツパスは今後も継続する点では合意してい。問題は月49ユーロをいつまで続けるのか、または近々値上げするのか、という点にあ連邦交通相と各州交通相には長期間にわたる安定したパスの計画を提示していただきたい。

 

  ヴィッシングは「ドイツパスと学期チケットの連携によって公共交通機関へ若い利用者グループを引きつけわけだから、学期ティケットの合意は公共交通機関を経営している各州にとってはティケット料金をできるだけ低く抑えられるように働くとの見通しを述べている。

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  日本での類例ですが……        

  日本の交通機関の多くが民間の経営です。その民間(私鉄)でもいろいろな割引切符を発売してはいます。例えば私の住んでいる地域を走っている西鉄バスでは学生用に区域内乗り放題エコルカードを発売しています。大学生用が一ヶ月7200円ですからドイツの学生がドイツパスで近郊のみ利用するのとほぼ同額です。来年からドイツではそれが約4700円になるというわけです。

 

  西鉄バスには(福岡県内をほとんどカバーする)乗り放題パスを年間42000円で発売しています。月にすると3500円ですからドイツの学生用ティケットより安くなります。ただしこのパスは75歳以上の人を対象にしていまして、特急バスは対象外です。

 

  上は日本の私鉄での例です。ドイツでは国民の「足」を守るために国と自治体とが向き合って方策を探っているのです。これは公共交通利用により自家用車の利用減少を進め、環境保全を目指すという国の大方針に沿った政策です。環境保護という国際的な方針とゾリダール・モデルという相互扶助の理念を結び付けようとしている点も「ナルホド、偉いものだ」と思いました。