読み齧り旬記(ほ):ドイツの地下鉄での無賃乗車 

 

 「無許可乗車」と「無賃乗車」    

 ある資料を見ていたら「無許可乗車」という単語がありました。この単語を目にした時、一瞬ですがこの単語の意味を解することができずにドイツの地下鉄での無賃乗車を思い出しました。「無許可乗車」と「無賃乗車、不正乗車、闇乗車」は別ですが、急に思い出した無賃乗車のことを書いてみます。

 

 使いやすい公共交通ではあります    

 日本では電車でもバスでもティケットの代金はどこからどこまでは幾らと決まっていますがドイツではかなり複雑です。しかも地下鉄、バス、近郊鉄道、都市によっては市電も運営主体は市の交通局なので一枚のティケットでそれらに継続して使えます。ベルリンでは1枚の乗車券で方向が同じであれば2時間有効です。友人宅訪問のために自宅を出て、10時に近くのバス停でバスに乗り、地下鉄駅の近くで降りて地下鉄に乗り換え、途中下車して子供におもちゃを、お父さんいワインを買い友人宅近くの12時前に地下鉄駅に着くまで1枚のティケットでいいのです。

 

 これを書いていて急に思い出したことがあります。京都にまだ市電が走っていて、しかも60年も昔のことですが、京都では一つの方向へは市電の乗り継ぎは一枚の切符で出来ていたように記憶します。電車とバスの乗り継ぎも可能だったのかどうかは憶えていません。

 

 ドイツの地下鉄に戻りますと、多くの都市では交通網が幾つかの区域に分類されていて、同じ区域内だと一駅(一バス停)間乗っても十駅(十バス停)間乗っても料金は同じで、区域をまたぐと、それが一駅間であっても、加算されます。ベルリンの場合一方向2時間以内であれば西の始発駅(バス停)からから東の最終駅まで、北の端から南の終点まで大人一人5ユーロ、今は1ユーロ180 185円ですから1000円以下です。

 

 ミュンヘンでは観光地の多くが点在している中心部では4.2ユーロ(800円弱)なのですが、そこから四方八方に広がる交通網は複雑で料金もベルリンのように一律ではありません。

 

 ドイツの地下鉄での無賃乗車と罰金   

 ドイツの地下鉄では改札があることはあるのですが、自動改札機が静かにたたずんでいるだけです、利用者はその改札口に切符を入れてカチンと自分で改札するのです。今は電子ティケットが主流ですかともあれ自動改札です。日本のように係員が、あるいは改札機が、一人ずつ切符を改札するわけではありません。ですからしようと思えば無賃乗車は簡単にできるのです。

 プラットホーム入り口での個別改札は無いのですが、プラットホームや車内での改札は時々あります。発車ベルが鳴り終わり入り口のドアが閉まると買い物カゴを抱えたおばさんが地下鉄職員の身分証明書を提示して車内改札を始めるのです。改札が始まったら前か後ろの車両に移ればよいと思うかもしれませんが、ドイツの地下鉄は各車両はスタンドアローンで走行中に別の車両には移れません。

 乗客が多くて改札に手間取り次の駅に着くまでの間におばさんが自分の所まで来なかったら次の駅で降りれば無賃乗車はバレません。前後の乗車口の真ん中あたりにおれば改札にあわない可能性は高いと言えば高いですが、世の中はそううまくいかせてくれません。係員が複数の場合もあります。しかも、時には降車時のプラットホームでも検査があります。

 念の為に申し上げますと、地下鉄職員はいつも買い物かごを下げたおばさんとは限りません。正式の制服の場合もあります。またその駅で乗ってきた人ではなく、前から乗っていた人が発車した途端に「ティケットを拝見いたします」と始める場合もあります。 

 

 無賃乗車には罰金      

 不正乗車が見つかると罰金が課せられます。ドイツ国内同額で60ユーロです。60ユーロは現在のレートでは1万円を超えます。前述のようにドイツの交通費は日本に比べると安いのですが、無賃乗車がバレると即1万円です。日本では無賃乗車は当該運賃の3倍が課せられます。ドイツで1000円の所を闇乗車すると罰金1万円で10倍ですが、日本だと3000円です。運賃が安いだけ、財布が痛む率はドイツの方が日本より高い場合が多いいと思われます。

 この節は ここの 記事を参考にしています。

 

 警察所管に移しても簡単には解決しません      

 課せられた罰金は払わなかったり、失踪したり、度々の無賃乗車が明らかになると、解決は市の交通局の手を離れて警察の手に移されます。2024の全国犯罪資料によると無賃乗車は144000件に上るそうです。ではありますが警察の手に移ったからと言って問題が解決されるわけではありません。住む所がなかったり働いていなかったりして拘留が続いている人が9000人います。そして国は1人の逮捕者に一日150 200 ユーロの負担が掛かります。単純に計算すると(150 x 365 x 9000 =5億ユーロ~( 200 x 365 x 9000 =6.5 億ユーロ(900 1200 億円)になります。

 この事態を受けて、無賃乗車の刑罰化は停止しようという声も政党からは聞こえてきています。そうなると結局は運賃を上げなければならなくなるであろうし、法の整合性も問われることにもなろうし… 等などと解決はまだ先になりそうです。

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