内心 | 支配人のあしあと 【鹿児島のホテル】

内心

 “Form follows function.(形は機能に従う)”という有名な言葉が、デザイン界にはあります。建築家ルイス・ヘンリー・サリバン(Louis Henry Sullivan 1856-1924)の名句であり、その後の建築(家)や、全ての「デザイン」に影響を与えました。


 私が建築設計をしていた時代、「建築は発見と感動を与える(べき)もの」という考えをもって取り組んでいました。実践出来たかどうかは「?(クエスチョン)」ですが、少なくともそんな「想い」がありました。では、発見や感動はどうしたら得られる?と考えたときに、それは「今まで理解できなかったことが理解できたとき」だと勝手に定義していました。その媒体として、「デザイン」を利用するというのがいわゆる「手法」にあたる部分でした。


 身近な例で言えば、「醤油さしの口の形状」。もしこの形(デザイン)でなければ、使うたびに醤油が容器の下までたれてストレスがたまりますよね。でも、出来の悪い醤油さしに出会うことも大切だったりします。「やっぱりあの「形」が「機能」を満足させていたのだ」と気付く。これがなくってはやってられないなぁ →この形が答えなんだ~ → 感動へと昇華させられる。


 そのような小さな仕掛け的なデザインをいくつも建築の中に埋め込んでいくことによって「発見と感動」の建築が生まれると信じていました。しかし、その「いろいろと小さな事をチビチビ仕掛けするスタンス」は建築の諸先輩方に「あなたは一体(この建築で)何がしたいのか分からない?」としばしば指摘を受けました。それらの「チビチビ」をまとめる全体コンセプトに欠けていた、あるいは、伝え切れていなかったのだと思います。


 でも、私が学生時代に思いついたその考えは、基本的な部分は10年経った今でもやっぱり変わりません。不思議なものです。「建築でそこを体験する方々を感動させたい」と想う気持ちは、今は ホテル公式ホームページの「ごあいさつ 」にもあるように、「ホテルを体験する方々を感動させたい」という気持ちにそのまま引き継がれています。10年前とは違い、それぞれの「チビチビ仕掛け」はひとつの大きな大きな、壮大なコンセプトの元に実践しています。 そのコンセプトとは? ちょっとまだ今の私には「有言実行」できません。心に秘めて頑張ります。


 最近の悩みは、感動がどういう時に生まれるのか?それは「体験する前と後のギャップによるもの」だということを知ったからです。今までは宣伝はほとんどしていませんでした。ある意味、この感動を生みやすい環境が整っていました。


 しかし鹿児島もここまで「ホテル建設ラッシュ」が激しくなると、液晶テレビだの個別空調だの、シングルにはバルコニー付だの本当はしたくない宣伝文句も考えて、表に出さなければならない気がしてきました。ほんとうに、ほんとうに、本意ではな~いのです。アピールしたくないのです。何故なら、来てからの感動が「目減り」しちゃうから。それどころか、期待という大きな風船がパンパンに膨らんだ状態でいざチェックイン。とたんに何か1つのマイナス点でパーンとはじけてしまうことも考えられるわけで、内心は心配で心配で。


 この自称「ほぼ私的なブログ」だから本音を申し上げますが、宣伝しない、アピールしない。「定価」という価値ラインで純粋に勝負する。一期一会の気持ちでホテルがお客様をお迎えし、事前情報なしでそのホテルを体験される。私達のサービス、仕掛けを気に入って頂ければまたお越し頂く。そんなホテルを目指したい。


 そういった意味では、このブログにも どの程度サービス内容を「暴露」するか、常に迷いがつきまといます。しかしそこは、「ほぼ私的なブログ」と割り切っていこうと考えています。


 ちょうど同じような境遇を経験された先人達のお言葉が耳元をかすめます。「自分の最大のライバルは自分だ」と。常に昨日の自分、昨日のホテルを越えていかなければいけないというパイオニア精神。自分は建築から転身した身。いわゆる「外様(とざま)」ならではの立ち位置で踏ん張っていこう!


今日は久々のお休みでした。明日からまた楽しんで行こう!


長文おつきあいありがとうございます。

これが、今のわたしの「内心」です。