そんなホテルを目指して
企業には様々なタイプがあります。
事業拡大、店舗拡大、飛ぶ鳥をも落とす勢いの企業。
今ちょっと見直されつつありますが、
なかには、そうしていかなければ成り立たない業種もあります。
当ホテル を運営している会社はそれとは反対のタイプ。
あくまで
「全国でただひとつのホテル、75室のみ!」 を貫き通す。
それは、チェーンホテル、大型ホテルとは異なる立ち位置に
身を置くことに他ならなりません。
しかし、内部組織的にはそのような考えのもとでスタッフの高い
モチベーションを維持するのはとても難しいです。
全国区のホテルや、自動精算機等の導入により
脱労働集約型ビジネスとしてのホテル(宿泊施設)を
目指す動きが一つの潮流を成す今日、
全国の独立系ホテルや2代目、3代目を迎えている地元企業
運営の施設が直面している課題だと言えます。
※補足
【宿泊の自動精算機】
人件費率や不確定要素としての人(フロント)の介入を最小限に
抑えるために導入が進められているロビー端末。その背景には、
厚生年金、健康保険等の会社負担金の増加により 正社員を抱え
なくなり、いつの間にかあるレベルのホテルまではアルバイトが
当たり前のようになった。 次に見えてきた課題は頻繁に入替わる
アルバイト、その教育の限界と現場の疲弊?
その次に現れた救世主 !? が 【自動精算機】ではないでしょうか?
ここからは更に私の私見(間違っていればごめんなさい)ですが、
旅館に端を発する人の「心遣い、おもてなし、設(しつら)え」を本来
の姿とする日本の宿泊施設において、様々なチカラが働いて、
いつの間にか「機械」がそれに変わろうとしているこの21世紀。
「導入期」特有の苦労として、「あちらの自動精算機でどうぞ」だけ
ではどうしてもお客様の納得がいかず、結果として機械の使用方法
の説明がある種ホスピタリティとなって好評価を得ている場合も
あるようです。
私の考えは一部の「時代の潮流」に逆行しているようですが、
やっぱり
「人の心に勝るホスピタリティはない」
のでしょうね。
事業拡大、店舗拡大型企業の羨ましい点。
「○○店オープン!、総売上高○○UP!」というニュースが
飛び交う会社の社内の雰囲気を想像してみてください。
拡大=勢い=活気=(個人の)自信!
となり、社内の好循環を形成する(させる)訳です。
対して、店舗拡大も連結売り上げ?も拡大していかない、私共のような
「全国で唯一つのホテル」を標榜するホテルのスタッフをまとめることは
少しむずかしゅうございますが、それが私の役割だと考えます。
何故なら、
スタッフが一致団結し
毎日高いモチベーションでお客様に接する。
これが最上のホテルサービスとなり得る
のですから。
~我々のようなホテルで高いモチベーションを
実現するには 長~い道のりが必要です~
まず 価値観の形成 が必要となります。
「接客」というお仕事がどんなにすばらしい職業なのか?
それを知ることから始めなければなりません。
世界には様々な価値観が国・民族・宗教によって形成されていますが、
人間と人間の関係において全世界共通の価値観、というより全人類に
通用する行為は何か?
それは
「相手を敬い、気遣い、少なくとも迷惑をかけない」
そんな簡単なことだと思います。
もちろん、それをどれほど重要視しているかや、それさえも出来ない
状況の国・地域もあるでしょう。
でもそこを目指すのが「人間社会の理想」ではないでしょうか。
さて、
「接客」というお仕事は
「相手を敬い、気遣い、少なくとも迷惑をかけない」
ここからスタートする、無限の可能性をもった仕事なのです。
もうひとつ、
「モノ」 には必ず寿命があります。
俗に言う「カタチあるものは必ず...」というあれです。
自動車だって、建築物だって...
それらはそのモノが人々の役に立って、人々の生活を豊かにし、
心に思い出を残す、そんな役割があります。
さて、
それらのカタチある「モノ」が果たしていた役割を、
カタチのない「ココロ」に委ねられたもののひとつ
それが「接客」でだと思います。
(他には芸術などがあります。が...)
まとめれば、
「人が、直接、人に、働きかける、感動を与える!」
「...相手を敬い、気遣い、少なくとも迷惑をかけない、そんな気持ちで」
それが「接客」というお仕事です。
なんと すばらしい
のでしょう。
このような考えが身に付いた接客のプロにとって、
お客様からの感謝の言葉はそのプロを毎日元気づけ、
更に前進させる大きな、 大きな、 糧となります。
そして多くのお人々に感謝されたということは
社会に感謝されたことと同等の意味をもちます。
そのような職業の方々は、(お医者様、弁護士様のように)
報酬も大きいのが本当です。
しかし残念ながらこの業界の給料はあまり良くありません。
精神論だけでは家族を養い、生活していくことが出来ませんから、
本気で 「頑張った人、そして成果を出した人は正当に評価される」
そんな職場づくりへと動いていかなければならないと考えています。
少しずつ、少しずつ。
社会における自分の職業の意義をしっかりと認識し、
日本を支えるジャパニーズビジネスマンを支え、
多くの旅行客様に感動を与えられるような心を尽くし、
その成果として自分とその家族の生活が安定する。
そんなホテルを目指したいと考えます。
支配人