今までに固定スライド式ガスガンの集弾性を調べてきましたが、今回はちょっと変わった内容になります。


今回取り上げたのはマルシン製モーゼル712固定スライド式ガスガンであります。


何故この製品を取り上げたかと言うと、この製品は致命的な欠陥を持っており、それによってかなりのジャンク品が発生していることが気になりまして、どうにか再生できないものかと思い、このブログを発信することにしました。

マルシン製モーゼル712固定スライド式ガスガンについては、発売当初にメッキモデルを購入しましたが、当時はエアガンにさほど興味が無かったので、実射もそこそこにすぐ手放してしまいました。
ところが、この製品には致命的とも言える欠陥があることを知り、今回ジャンク品を手に入れることができましたので、レストアを兼ねて実射性能を調べることにしました。

手に入れたのは2丁で、1丁はガスチャージが可能で、マガジンさえ抜ければ復活しそうなものでした(個体A)が、もう一方は前オーナーが無理やりマガジンを抜こうとしたのか、マガジン自体が大破しており、新しいマガジンを必要とする状態でした(個体B)。
両方ともマガジンキャッチが全く動かないためにマガジンが抜けないという同じ症状が現れていて、いずれも作動不能のジャンク品となっていました。
マガジンが抜けなくなる原因は、不純物を含む亜鉛合金は「粒間腐食」という劣化を起こし、酷い場合は内部から腐食が始まり、膨張して張り付いてしまうというものです。
本来なら手に入れた時の状態を記録しなければならないんですが、誤って画像を消してしまいました。
なので、結果のみの報告となります。

レストアの手順は、シリコンオイルを内部にたっぷりと浸透させ、マガジンキャッチやマガジンの滑りを良くして、マガジンを抜けるようにしようと思いましたが、マガジンは若干動くようになりましたが、マガジンキャッチは全く動かない状態でした。
マガジンがカタカタ動くのに抜けないということは、問題はマガジンキャッチにあるはずなので、マガジンキャッチをいっぱいに押し込んでロックを解除すると、マガジンを抜くことが
できました。
マガジンを抜いてみてわかったんですが、個体Aのマガジンは生きており、ガス漏れも見られませんでした。

表面をよく見るとザラザラというかブツブツしていて、これもマガジンが抜けにくい要因になっていると思います。
表面が荒れているのが粒間腐食によるものなのか、製造段階における成型不良なのかはわかりません。

個体Bは、 こんな感じに。

明らかにマガジン自体が粒間腐食を起こしているようで、朽ち果てるのは時間の問題という感じですね。

マガジンが抜ければ分解できるので、内部ユニットを取り外しマガジンキャッチを抜こうとしましたが、ABS本体に張り付いており、シリコンオイルを染みこませてもビクともしませんでした。
やむを得す、ここからは荒療治となりますが、マガジンキャッチの裏側に小さな穴を開け、裏側から突き出すことで、ようやくマガジンキャッチが抜けました、
この荒療治により、個体Bのマガジンキャッチはボロボロに粉砕されましたが、個体Aのマガジンキャッチは一部が若干欠けているだけで、機能は果たすことがわかりました。
ということは、個体Aは再生する可能性があるわけで、マガジンキャッチやマガジン本体の状態をチェックしつつ、レストアすることにしました。
まず気づいたことは、マガジンが抜けなくなる要因はマガジン自体の粒間腐食による張り付きもありますが、マガジンキャッチが固着することにより、マガジンのロックが完全に解除されないことのほうが多く、つまりマガジンキャッチのパーツ精度も要因となっているようです。

今回はマガジンキャッチをいっぱいに押し込めばマガジンが解放されるように、 マガジンキャッチを削って調整してありますので、個体Aは復活しました( ^o^)。
ただ、マガジン自体の着脱がスムーズではないので、まだ調整する必要はありますが。
ちなみに個体Bも、マガジンキャッチとマガジンがあれば復活しますけどね。

いずれにしても、個体Bの状態を見れば一目瞭然で、マガジンが抜けなくなる要因は
①マガジンの粒間腐食による張り付き
②マガジンキャッチが粒間腐食によって張り付き、マガジンが解放されない
③マガジンキャッチのパーツ精度が低く、いっぱいに押し込んでもロックが解除されないため、マガジンが抜けなくなる
という三つの要因が絡んでいることがわかりました。

これ、メーカーで対応できませんかねぇ?
粒間腐食の問題は純度の高い亜鉛合金を使うことで解決できるはずですし、マガジンキャッチ精度に関しては、 製造段階の組み立て時に調整すれば解決するはずなんですがねぇ。
素人の私が直せるんだから、ぜひともメーカーには一考をお願いしたいと思います。
現在この製品は生産中止らしいですが、人気のある製品ですし、ちゃんと調整すれば売れる製品だと思いますが。
こんな些細なことで消えて行くのは、もったいないモデルのような気がしますけどねぇ。

ここからは実射性能を調べてみます。
まずは初速の測定。
EXCELの0.2gで5発
①87.92m/s
②87.82m/s
③89.58m/s
④90.18m/s
⑤86.53 m/s
平均88.41m/sで、威力は0.782Jでした。
夏場ということもありガス圧が安定しているので、グルーピングに期待が持てますね。
ただ、欠品となっているタンジェントリアサイトを手配中なので、届いたら グルーピングテストを行います。

その間に個体Bの破損箇所を修理しておきます。
個体Bに関しては前オーナーもかなりトライした形跡があり、残念ながらフレームにクラックが入っていたので、プラリペアで接着補修しました。

ついでにパーティングラインの処理も。

後はタンジェントリアサイトが届くのを待つばかりですが、集弾性を向上するためのアイデアとして、インナーバレルのガタつきを最小限にとどめるための工夫を施します。
マルシン製モーゼル712固定スライド式ガスガンは、一般的な固定スライド式ガスガンのようなインナーバレルが後ろに下がってBB弾を咥える、いわゆるバレル後座式ではなく、インナーバレルは固定されていて、ガスノズルが前進してBB弾をインナーバレルの後部に押し込む方式なので、インナーバレルのガタつきは徹底的に減らすことができます。
WAのコマンダーカスタムと同じ方式ですね。
次回は集弾性の向上対策とそのグルーピングテストをおこなう予定です。

ということで、今回はここまで。
(^^)/~~~