妻には外で働いて欲しいか、欲しくないか | 合掌

合掌

俺の生存記 

外国人の子供の日本語支援や学習サポート行っているところから。
ボランティアスタッフとして手伝ってくれないかと。
知人を通じてアイツに英語の指導スタッフをやってみないかと話しが入った。

火曜日と土曜日の週2回。
19時から21時まで。
日本語能力が十分でないため学習に遅れがちになる。
小中学生の外国人の子供のサポートをするボランティアだ。
学校ではないので教員免許は必要としないが。
指導するに当たっては研修を受けなければならないという。
常々アイツは英語を生かした仕事がしたいと言っていたので。
この話しに心が動いたようだ。

ボランティア活動としては有意義なものだし。
俺も協力したいと思うが。
土曜日はともかく問題は火曜日だ。
俺が家に帰るまでムスコをどうするか。
会社を定時に上がり真っ直ぐ家に帰ったとしても19時ギリギリ。
残業が入ることもあるし。
4歳のムスコにひとりで留守番はまださせられない。
アイツの実家に預けるにしても。
飲食店を営んでいるので店が一番忙しい時間帯である。
そうなるとベビーシッターを頼むしかなくなるのだが。
そもそもボランティア活動をするのに家計に負担が掛かったり。
ムスコに寂しい思いをさせてしまうとしたら。
その活動の意味はあるのだろうか。
自分達の生活と時間に余裕があってこそのボランティア活動ではなかろうか。

「やっぱり無理だよねぇ・・・
せっかくの話だけど断るね。」とアイツが言った。

南無妙法蓮華経

昔は女性が結婚したら専業主婦が当たり前だった。
それは裏を返せば夫の収入だけで生活を支えることができていた。
サラリーマンの収入の保証がされていたということだ。
ところが働き方が多様化した今。
非正規雇用者が増え正社員が減り。
正社員になれても昔のような終身雇用は終了しているので収入の保証はない。

妻を専業主婦にできる男は勝ち組だと俺は思う。

今は俺も何とか家族を養ってはいるけど。
子供の教育費やマイホーム購入など。
これから先の現実を見据えるとアイツにも働いてもらわなくちゃ厳しい。
ってかむしろアイツが働いてくれるのは有難い。
でもそうなると。
ボランティアというよりはお金を稼いでもらうことになるけどね。
ムスコが小学校に上がってひとりで留守番できるようになるまで。
もう少し待ってほしい。

「うん、わかってる。
特別ボランティアがしたいんじゃなくて、
でも人の役に立ちたいとは思うし、
働きたいっていう気持ちはずっとあるけど、
ま、何でも物事にはタイミングがあるからね。
それにね。
私が働きたいのは家族のしあわせのためだもん。
ほんとだよ!」

俺の働く理由も家族のしやわせのためだよ。
ほんとだぜ!

アイツが笑いながら俺にスマホを差し出した。
「ねぇ見て、笑っちゃうの。
ショウコちゃんにもね、意見を聞いてたんだけど、ほら!」

ショウコは俺のいとこで。
今ではアイツと親友ってくらい仲が良い。
スマホの画面の中のショウコの言葉はこうだ。

「アイツちゃん人が好すぎる。
充分お金が取れるスキルなのにボランティアなんてダメ、
スキルのタダ売りも一緒だよ。
違うボランティアにしたら?
お花を植えるとかいいんじゃない(白目)」

なんだよ最後の「白目」ってのは(笑)

合掌