しばらく調子がいい日が続き、父には無茶ぶりだがお見舞いに来るときにたこ焼きや炙りイカなどを買ってもらってきた。病院食はまずくはないがどうしても味に飽きてしまう。
抗がん剤の投与をしたので白血球は下がっていくので、生ものなど火を通していないものは食べられないが、逆を言えば火を通しているものなら食べられる。そのため調子のいい日は生ものではないテイクアウトの食品がないか考え、食べたいものがあったらそれを父に頼んでいた。父も食べてくれるのはうれしいようで、完食するとニコニコしながら喜んでくれた。
病気がわかってから哀しい思いをたくさんさせてきてしまったので、父が喜んでくれるのは私も同じくらいうれしかった。
夜には母が訪れて、母は「何か話してよ、スマホいじらないでよ」とせっついてくる。「いや1日病院なんだから何もないよ!」とか言いながらも、その日あった出来事とか、食事や周りの患者さんや看護師さんの話なんかをして、盛り上がった。
ある日は母が妹のドナーについて、「適合すると思うって言ってたよ」と話した。なぜか妹はドナーとして適合する気満々らしい。なぜか自信があると言っていたと母が笑っていた。私もそれなら安心だね、なんて笑っていた。
ドナーの適合の知らせまで、もう少しに迫っていた。
