先週の週末だったか、
テニスへ行くときだったか、
FMから流れてきた綺麗な声。

 

 

学者は、この宇宙の全ては幻想かもしれないという。
けれど、この世界には確かなものがある、と歌っている。

このYoutubeの書き込みに、
「繊細で切なくて儚いのに、優しくて、強い」

 

強さと優しさが同居している人間でなければ、
辿り着けない場所がある。

僕が最後に、彼の人の姿を同時中継でリアルタイムで見たのは、
父親が心臓の発作で入院した知らせを受けて、
群馬の高崎から、実家に近い埼玉の所沢に移って、5年が経った頃だった。
 

 

 

 

 

 

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【2008年12月の本部幹部会】

私たちが敬愛してやまぬ、大文豪トルストイ先生は綴りました。

「お母さまの顔はただでも美しかったけれど、
微笑によってそれはいっそうすばらしくなり、
まるで周囲のもの全体が明るくなるようであった。
生涯のつらく苦しいおりおりに、
もしほんのちょっとでもあの笑顔を見ることができたら、
私はおそらく悲しみとは
どんなものであるかをすら知らなかったであろうと思う」
(中村白葉訳『トルストイ全集1』河出書房新社)

お母さんの微笑みは、すべてを明るく照らしてくれる。
お母さんの微笑みがあれば、私たちは、人生の苦しみも悲しみも、
朗らかに乗り越えていくことができるのだ――。

@ 平和を祈る心

じつは、トルストイ先生は、幼くして母を亡くしました。
〈ちょうど2歳になるころ。
文豪は、母の面影を求め、作品を通して母の愛を宣揚した〉

私がお会いした、偉大なる文豪ショーロホフ先生も、
最愛の母を戦争の空襲によって奪われました。

それだけに、お二人の大文学には、世界のお母さんたちの幸福を願い、
そして人類の平和を祈る心が深く深く込められていると感じてなりません。

きょうは、わが未来部の代表も集いました。
高等部、中等部の若き皆さん、本当にご苦労さま! 
お休みのところ、よく来たね。成績は大丈夫かな。

若いということ自体が、一番の財産だ。
電車賃が足りない時は、一駅や二駅は“マラソン”で(笑い)。
そのくらいの心で、朗らかにいくのです。

青春時代は、悩みが尽きないものだ。
だからこそ、先輩は、後輩を大事にしてあげてほしい。
何か困っていることはないか、悩んでいることはないか、
相談にも乗ってあげてもらいたい。うんと応援してあげるのです。

親を一番、大事に! 後輩をまた一番、大事に!
これが、「人道」の出発です。

それから、男性は、女性を大事に! 
なかんずく、全員が、お母さんを大事に!
これが、人生の「根本」です。

トルストイ先生の名作『戦争と平和』。
読んだことのある人はいますか?〈会場から多くの手が上がった〉

内容は聞かないから、心配しなくてもいい(笑い)。

『戦争と平和』は200年前、

ナポレオン軍がロシアに攻め入った時代が舞台である。
荒れ狂う動乱の激流の中で、真摯な青年が、いかに悩み、

いかに苦難を勝ち越えていくか。
試練に打ち勝つ「青年の勝利」が、この大河小説の主題の一つであるといってよい。

@ 全てが財産に

トルストイは記しています。
「試練こそ私にはこよなく有難い」
(ビリューコフ著、原久一郎訳『大トルストイ』勁草書房)

また、「苦難に耐えることを知る人間は、不幸になるわけがない」

というのが彼の信念でした。

その通りと思う。私の人生も、そうだった。戸田先生も、そうおっしゃった。

青年ならば、苦難にぶつかっていくことだ。試練に挑んでいくことだ。
要領よく生きて、何で本物の人間ができるだろうか。

苦労をして働く。広布のために戦う。時には、いじめられる。
それでも前進を続けていく。そして勝つ。

それが全部、自分自身の訓練となり、財産となるのです。

仏法でも、“強敵”こそ、

自分を強く大きく鍛えてくれる“第一の味方”であると教えている。
仏になるための「善知識」なのである。

トルストイは、政治の権力による弾圧にも、宗教の権威による破門にも、
卑劣な虚偽の中傷にも、絶対に屈しなかった。
「屈しない」ことが勝利である。永遠の勝利だ。屈してはならない。
私も何があっても、絶対に屈しなかった。
師子王である戸田先生に薫陶された直弟子は、何ものにも負けないからです。

@ 真実を広める

「なすべき大切な使命」とは何か。
トルストイは、青年に伝えました。それは、

「持てる力の限りを尽くして、
わが身に知り得た真実を世界に広めながら、生き抜いていくことである」と。

これこそ、創価学会の精神ではないか。世界広布の人生ではないか。
理想を目指す人には生きがいがある。
その理想を実現しゆく方程式を、トルストイは示唆してくれているといえよう。

わが青年部の皆さん! 
「生命の尊厳」そして「人間革命」の希望の哲学を、
生き生きと、大確信をもって、これからも、
さらに力強く大師子吼していこうではありませんか!

トルストイの『戦争と平和』には、こうも記されている。

「勇気あれば 勝利ゆるぎなし」(藤沼貴訳、岩波文庫)

「戦いに勝つのは、必ず勝とうと堅く決心した者だ」(米川正夫訳、岩波文庫)

ここから、社会を変革しゆく要諦を読み取ることができる。
平和を築く、我らの言論戦も、勇往邁進して勝ってきた。

仏法は「不惜身命」「勇猛精進」と説く。
わが身を惜しまず、勇猛に戦ったほうが必ず勝利するのである。

ショーロホフ先生の作品からも、「勝負」の哲学を学び取ることができる。
こう綴られていた。

「勝利は頂上にあるんだ」
「重要なのは頂上に達すること、どんなことがあってもたどり着くということだ!」
(昇曙夢訳『祖国のために』角川文庫)

この不屈の心意気で進もう!
君たち青年よ! 師子王のごとく、大鷲のごとく、勇気と執念で断じて勝ちまくれ!

トルストイ先生も、ショーロホフ先生も、
ずる賢い大人たちの傲慢や恩知らず、また、ウソや攪乱を許さなかった。
正義と誠実の「青年」を信じ抜かれたのである。

戸田先生も、誰よりも「青年」を信じておられた。青年部、頼むよ!

トルストイ先生の一人の若き弟子(グーセフ)は、

師の大思想を勇敢に広め、戦った。
そのために不当に弾圧され、2年間も追放・流刑された。
しかし、この若き弟子は、師のもとで戦いきった青春に、一点の後悔もなかった。

〈グーセフはトルストイ最晩年の1907年から09年まで2年間、

トルストイの下で働く。

09年に流刑。流刑の地から帰った後も、他の弟子とともに、

師トルストイの原稿収集、出版、師の思想の研究に生涯を捧げた〉

「これでいいんだ」と、わが心に叫べる人生は、幸せである。

若き弟子は、流刑の地から、81歳になる師匠トルストイに、こう書き送っている。

「もしも私に、今より千倍厳しい困難が降りかかったとしても、
私は、この2年間、こんなにも長く、
あなたのおそばにいることができたことを、ただ天に感謝したことでしょう」

「あなたとともに過ごすことができ、いつも最高の幸福を感じておりました」

師弟に生きることほど、幸福なものはない。
これこそ真実の価値ある人生である。よくよく心に留めていただきたい。

牧口先生と戸田先生も、そうであられた。
戸田先生と私も、深い深い絆の、人生の劇であった。
師弟一体の戦闘を続けてきた。何一つ、後悔はない。

今度は、私と君たちで、
尊極の師弟の勝利の歴史を、誇り高く、永遠につくり残していこうよ!

きょうから!
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僕が、彼の人の姿を直接見たのは、1979年頃、
大学生の頃、創価大学体育館での学生部の会合の一度だけ。
翌日の聖教新聞の一面に、僕の姿が映っていた。

でも、彼の人と生死をともにした33年前のあの日から、
彼の人は、ご逝去の直前まで僕を励ましつづけてくれた。

忘れない。何度生まれ何度死んでも忘れない。


きょうの聖教新聞の一面に、彼の人の言葉が載っている。

 

 

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@ 人類の宿命転換へ

平和の建設は、
「諦め」と「希望」の競争である。
「無力感」と「執念」の競争である。

諦めの無力感が蔓延すれば、
それに比例して
“力に頼る風潮”は増大してしまう。
それこそが問題なのだ。

しかし、この世に、
あの地獄のような惨劇をもたらす
兵器を生み出したのは、人間である。
ならば、人間の英知で
核兵器を廃絶できないわけがない。
  
平和運動は、これまで、
ともすると“一部の人々のもの”と
見られがちであった。

しかし、平和といっても、
決して日常を離れたところに
あるものではない。

現実の生活のなかに、
また一人一人の生命と人生に、
どう根本的な平和の種子を植え、
育てていくか。
ここに、
永続的な平和への堅実な前進があり、
創価学会の活動の眼目がある。
  
貧困や気候変動の問題をはじめ、
SDGsの目標を
達成していく道のりは、
困難の連続でしょう。

しかし、現実変革を求める
世界の青年たちの連帯があれば、
乗り越えられない壁など決してないと、
私は固く信じています。
 
先師も恩師も、青年の偉大な生命と
無限の力を信じ、大切にされた。
私も、青年を焦点に育成に
全力を挙げてきました。
それに応えて青年が陸続と誕生し、
成長し、活躍してきたからこそ、
創価の世界は
五大州へと発展したのです。

青年の人間革命によって、
社会も、国も、世界も、
大きく変えていけるのです。
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