こんにちは。
生理用品専門店「ガーネットムーン」のmiyaです。
当店では生理ナプキン補助製品である「シンクロフィット」や、吸水サニタリーショーツの「ガールズリープ」「ムーンパンツ」を取り扱っています。
ぜひともよろしくお願いします。
先日、大丸梅田店5F「michikake」イベントの「WE Health 2022」イベントにて「#しかたなくない」の冊子を頂きました。
(前回の予告から内容変更致しました。申し訳ありません)
この冊子は性(ジェンダーもセックスも)に関わるいろいろな事柄からの「しかたない」を一つ一つ考え、「しかたなくない」に変えていくためのものです。
無料配布なのに64ページフルカラーの厚みのある冊子でした。
最近、月経コンテンツに「我慢しない」という言葉が増えたように感じます。
「生理痛が辛いのは」「経血量が多いのは」「PMSが辛いのは」
上記の事柄に悩みを抱える人は多くても「自分一人が我慢すればいい」って思ってしまい、そのまま誰も公にしないまま歴史が過ぎていきました。
ところが一人が「生理痛辛いよね」「月経量が多くて大変」「PMSしんどい」と言い始めると、あちらこちらから「わたしもわたしも」と手を挙げる人が増えてきます。
それは決して、個人の問題じゃありません。
わたしは子どもの頃、「辛いことも我慢しなさい、我慢しない方が悪い」みたいなことを言われて育ちました。
その言葉をそのまま飲み込むことは出来なかったけれど、知識も経験もないので反論することも出来ないまま、モヤを抱えて何年も過ごしました。
そんなとき、中学の課外授業で性教育の講演会がありました。
講演内で
「その女性は生理の痛みをずっと我慢しながら家事や子育てをして、気がついた時には子宮ガンが治療できないところまで悪化してました」
その時に「我慢するだけ損じゃないか!」と目から鱗が落ちました。
(その時の講演会に来ていた先生は当時の性教育の第一人者の先生で、出産シーンのビデオなども見させていただきました。名前も覚えていないのでどういう方だったか調べられませんでした。およそ35年前の話です)
幼少のわたしに対して言われた「我慢しろ」というのはこの講演会の先生のセリフの「我慢」とは違ったことなのかもしれません。
それでも自分一人で抱えてしまったら一定ラインを超えると、精神的な事柄でも身体的な症状でも内側で爆発してしまうでしょう。
「#しかたなくない」の表紙には「スマルナ」さんのロゴがあります。
スマルナというのはピルのオンライン診察サービスです。
オンライン診療サービス自体、コロナ禍もあって急激に利用者が増えたとの話もあります。
ピルは「薬」なので月経周期を変える(整える)のが本来です。
しかし、ピルによって月経痛が改善する、周期が安定することによってスケジュールが立てやすくなる、PMSが改善するととによって精神的な余裕が出てくるというのは、ピルの本来の効能以上にメリットです。
今まで「我慢していた」ことを「我慢しなくていい」ようになります。
ピルや月経関連以外の
「結婚したら改姓しなきゃいけないの?」
「結婚したら子ども産まなきゃいけないの?」
「仕事や作業に性差を強要されなきゃいけないの?」
など生きていく上でわたしが何度も感じた引っ掛かりが、「しかたなくない」「我慢しなくていい」になればいいかなと思います。
「#しかたなくない」のサイトにある見出しは
- 避妊してくれないのは、しかたなくない
- 生理の日も休めないのは、しかたなくない
- “男だから”“女だから”で決めつけるのは、しかたなくない
- セックスの話がタブーなのは、しかたなくない
- PMSをわかってくれないのは、しかたなくない
- 女性のキャリアに壁が多すぎるのは、しかたなくない
- この国の性教育が後回しになっているのは、しかたなくない
- 何となく婦人科に行きづらいのは、しかたなくない
- 男だって体の悩みを言いにくいのは、しかたなくない
- ピルへのハードルが高いのは、しかたなくない
- “自分さえ我慢すれば”と諦めるのは、しかたなくない
- こんなにも生きづらい人が多い世の中は、しかたなくない
- HPVワクチンが誤解されているのは、しかたなくない
(以上、「#しかたなくない」サイトから引用)
上記の事柄、全てでなくてもどこかしらに「しかたない」と思っていたことが、「しかたなくない」になっているのが特徴だと思います。
わたしが生理用品の店を始めようと思ったのは「月経をちょっとでもラクにしたい」という思いからなんですが、月経がラクになったならば生活もラクになる、そうすれば生きるのもラクになるんじゃないかとも思っています。
苦痛に感じている社会問題を全部自分が一人で解決して行こうとするのは壮大過ぎて無茶です。
それでも、体がラクになったら心もラクになるように、心がラクになったら社会的にもラクになるんじゃないかと期待してもいいかもしれません。
例えば「生理休暇が取りにくい」という問題があったとします。
ある人が「生理休暇を強制して全女性に使ってもらおう」とすると、「月経中でも働きたい、遊びたい」といった人へのハードルになります。
月経が重い日に、何ヶ月も楽しみにしていたコンサートがあるかもしれません。
何ヶ月も練習してきた晴れ舞台があるかもしれません。
何ヶ月も勉強してきた試験があるかもしれません。
その時に「ピルを使おう」と思うのか、「月経が重い日にも対応出来る生理用品を使おう」なのか、「月経痛を和らげるような鎮痛剤を使おう」なのか、「月経痛に効くヨガやストレッチをしよう」なのかは人それぞれです。
その時に「我慢する」以外の選択肢を増やすのが、「我慢しない」ことなのでしょう。
選択することでベストなコンディションになればもちろんいいですが、ベストじゃなくてもベターな選択をすれば、次にもつながると思います。
それは自分一人が楽をすることじゃなくて、自分が楽をすることで他の人も楽にさせる、例えば「Aさんはピルを使って月経をラクにした、じゃあわたしも今度使ってみようかな」となれば、Bさんもラクになれるんだと思います。
我慢することが必ずしも悪いことだと言いたいわけではありません。
例えば月経痛でも一番辛い1日だけ我慢すれば、残りの29日ラクに過ごせるという人は1日だけ我慢するのもいいでしょう。
しかし、我慢する日がPMSを含む月間半分以上だったり、日数が少なくても我慢することで自分を含む誰もがラクになれなかったり幸せになれなかったりすれば、それは「必要な我慢」ではないでしょう。
経験談で言うと、わたしは過多月経から気づいた子宮内膜異形増殖症をきっかけに子宮摘出しました。
それは今後何年も続くであろう過多月経と異形増殖症が子宮体がんに変化する恐怖に囚われるよりは、半月の入院期間と腹部の傷のエグさやヒキツレの方がマシだと考えたからです。
過多月経が酷かった時は生理休暇3週間取った時もありました。
長期的に「ラクに生きたい」と思うのは決して悪いことではありません。そこから改善されるべき根強い問題が出てくることも多いでしょう。
「しかたない」と思っていたことが「本当にしかたないのか?」と考えるきっかけになる本でした。
なお、「#しかたなくない」を配布している場所が少ないのがちょっと寂しいところです。
PDFでも読めたらいいのに(要望)。
来週はテレビでも放送された「あしたのラク子さん」について書く予定です。
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