始まりの音がする -カチンコ クラッパーボード- | トイ&コミックのガリンペイロ

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カメラ、回して!

ロールッ!

 

・・・はいっ!アクション!!

一度はやってみたかった!カチンコ!

 

本日ご紹介はこちら!

映画の撮影現場ではお馴染みの「カチンコ」こと「クラッパーボード(clapper borard)」でございます。

英語の読みから「ボールド」という呼び名も。

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カチンコ(クラッパーボード) ブラックボード ¥2,980(税込)

撮影開始時にカメラの前で打ち鳴らす”アレ”でございます。

縦約27cm×横約30cm。

 

拍子木の部分もちゃんと可動。しっかり「カチンコ」できちゃいます。

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ホワイトペンが付属していてしっかり書き込むことも出来ます。

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ところで、この「カチンコ」一体どのような意味があって使っているのでしょうか?

ボードには暗号めいた文字が書いてあるようだけど・・・?

 

ここからしばし、映画ニワカのカチンコ豆知識にお付き合いください。

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まずは、打ち鳴らす意味。

これは撮影のスタートを告げるという意味だけではなく、映画が「トーキー(発声)映画」と呼ばれたころから、映像と音声を別々の機械で撮影・録音していたことに由来します。

つまり、撮影された映像に、録音した音を”後で同期させる”必要があるわけですが、そのタイミングを計るのがこの拍子木の「カチンコ」音なわけです。

ちなみに、カチンコを鳴らさずに撮影を開始し、終了時点で鳴らすというやり方もあり、「終了の時間が決まっている」という意味で「スケジュールが詰まっている状況」を指して「ケツカッチン」という業界用語が生まれました。

 

さて、それではボードに書かれているのは何なのか。

これは今撮影されているカット(場面)のフィルム情報。

一見してわかりずらいですが、各項目をじっくり見ればそれほどむずかしくない。

▼こちらのカチンコを例にとってみてみましょう。

SCENE(シーン)・・・

台本上のシーンナンバー。上記の例だと「R 84 B」という場面。残念ながら作中のどのシーンかはわかりませんでした。

 

TAKE(テイク)・・・

同カットの何回目の撮影か。上記の例では「1」回目。テイクが重なる(リテイク)と増える数字。

 

PROD./PRODUCTION(プロダクション)・・・

製作中のタイトル名。上記の例では「ポルターガイスト-1958」となっています。これは、1982年公開の「ポルターガイスト」。「1958」はおそらくモデルとなった事件を指す舞台の「1958年」からだと思われます。

(上図はPROD.TITLEで「タイトル」でしたが、PROD.NO.なら「製作番号/プロジェクトの番号」、PROD.CO.で「プロデューサー」という場合もあります)

 

DIR./DIRECTOR(ディレクター)・・・

監督名。上記の例では「HOOPER」。これはトビー・フーパー監督のこと。

「ポルターガイスト」は後に続編も制作されていますがフーパー監督がメガホンを取ったのは1982年の「Part1」だけ。タイトルの「ポルターガイスト」が1982年版ということがはっきりわかりますね。

 

CAM./CAMERA(カメラ)・・・

撮影監督名。上記の例だと「REONETTI」。マシュー・レオネッティ氏ですね。

 

DAY/NITE(デイ/ナイト)・・・

撮影している場面の”作中での”時間。上記の例では「日中(DAY)」と「夜(NITE)」しかありませんが「DAWN(ドーン)」(早朝)などの記載があったりする場合も。

ボード上の該当しない部分を消して使うのが一般的ですが、上記の例では「NITE」に下線が引かれていて「夜のシーン」だということがわかります。

 

DATE(日付)・・・

撮影日。「月-日-年」の順で表記。上記の例だと「1981年7月31日」に撮影されたことがわかります。

 

SOUND(サウンドのシンクロの有無)・・・

MOS(Motor Only Shot)」は無音撮影の意。普通のシーンは音も同時に録音するので、その場合は「MOS」の文字を消すのですが、上記の例では消されていないのでこのシーンではどうやら録音はされないようです。逆に撮影中の音を拾う場合の「SYNC(シンクロ) 」という表記がある場合も。

この「MOS」の撮影では、撮影中の音は拾わないので、撮影クルーは音をたてたりしても大丈夫ってことですね。

 

ちなみに、「モーター(Motor)」とあるのは、映像と音楽を収録する際にフィルムを回すモーターのことで、「撮影用(Shot)のモーターだけ回せ」ということから。

一方で、同時録音する場合は2つのモーターを「シンクロ」させる必要があるわけですね。

 

ということで、こちらのカチンコの意味、もうお分かりですね。

映画「ポルターガイスト」:夜のシーン「R84B」 テイク1

監督:トビー・フーパー/撮影:マシュー・レオネッティ

無録音にて1981年7月31日に撮影

 

ということ。

 

前述の項目以外にも

 

ROLL(フィルムのロール)・・・

現在撮影に使用しているフィルムの番号。撮影開始から使用したフィルムには通し番号がつけられて管理されるためその番号が記される。

 

INT./EXT.(屋内/野外)・・・

撮影場所がセットの中(INTERIOR)なのか、野外ロケ(EXTERIOR)なのかの表記。

こちらも該当しない方を消すのが一般的。

 

それを踏まえて、もうひとつ。

▼映画「プレデター」のカチンコ

「SCENE」の前に書かれた大きな「AX」の文字はおそらくフィルムのロール番号。

最下段を見ると、このカットは日中のシーンで、野外ロケで撮影されたことがわかります。

 

ところがこのカチンコ、監督名が監督のはずの「ジョン・マクティアナン」ではなく、謎の人物「C.BAXLEY」となっています。これは・・・?

実はこの「クレイグ・バックスレイ」氏は本作「プレデター」でスタントコーディネーターを務め撮影の別班である「セカンドユニット」を率いた人物とのこと。

おそらくこれが使われたのは、別動隊によって撮影されたスタントシーンにて、ということなんでしょうか。

カチンコ一つでもいろいろ想像できて面白いですね。

 

と、斯様にカチンコの書式や書き方は一般的な項目は共通すれど、三者三葉。

映画によっては専用デザインのカチンコを用意する場合も。

▼映画「ダークナイト」。カチンコもクールだぜ・・・。

▼映画「ジョーズ」では拍子木がサメの歯のように。

手書きの文字ってのもあって、撮影当時やその瞬間の熱気とか雰囲気みたいなものまで感じられていいですね。

そういうのはやはりファンの心をくすぐるようで、実際に現場で使われたカチンコやそのレプリカなんてものも売買されることもあるとか・・・。

なんか、気持ちはわかるなぁ・・・。

 

近年は同時録音の技術も向上して「カチンコ音」が必要なかったり、デジタル表記のものがよく見られたりします。デジタル化が進んだ最近は携帯端末のアプリを使ったりもするらしいですね。

▼デジタル部分はカメラのタイムラインと連動するように出来ている。

 

 

といったところで、皆さんももうカチンコの読み方がお分かりになったと思いますので、

次の写真のカチンコが「何の映画」のものかタイトルを当てて頂きたい!

 

▼一見「ブルー・ハーベスト」という名の映画のようですが・・・?こんな映画有ったかな?

タイトルでググっちゃだめよ!

是非とも、撮影日時、また監督や撮影監督の名前から探ってみて頂きたい。

 

1982年撮影の映画で

 

監督:R・マーカンド

 

撮影:A・ヒューム

 

 

ちなみに、右下に大きく「B」と書かれているのはカメラの番号、つまり「Bカメ」ってことですね。(これはヒントではありません)

 

 

それでは、大ヒント。

 

ここで「ブルー・ハーベスト」の撮影現場をご覧いただきましょう。

 

 

 

 

はい、正解は

 

 

「スターウォーズ Episode6/ジェダイの帰還」でした!

 

詳しい方なら「常識!」という問題だったかも?

 

当時、ネタバレを避けるために野外でのロケを行う際は「ブルー・ハーベスト」という”ホラー映画”の撮影を装っていた「ジェダイの帰還」。

その凝りようは専用ロゴまで作って、各種撮影機材や撮影用のヘリコプターにもそれを張り付けたとか。

このカチンコも、映画史に残るエピソードを刻んだお品ってことですね。

ここにもドラマがあった!!

 

 

というわけで、カチンコの豆知識いかがだったでしょうか。

撮影の舞台裏で劇的な瞬間の始まりを記すカチンコ。

記載されている以上のものが其処にはあるような気がします。

 

さあ、次は貴方の「物語」をここから始めてみようではありませんか!

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さらに、監督気分を盛り上げる取っ手付きメガホンを店頭ではご用意しておりますよ。

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それでは、

よーい、アクション!!

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