2020年、ついに発売となったマーベルレジェンドスクイレルガール!
いやあ、待ってました!
さてさて、いつものようにフィギュアのレビューに行きたいところだが…
そもそも「スクイレルガールってなんじゃい」「マイナーなネタキャラでしょ」と言った方に、自称ファンの私がリスの如き曇りなき眼で見たスクイレルガール/ドリーン・グリーンの魅力についてまず語らせていただきたい。
(つまり、かなりの私見です。そして長い話になります)
スクイレルガール/ドリーン・グリーン:リスのような敏捷性と運動能力を持ったミュータント。リスと会話ができる。
まず、彼女を知るための第一歩としてお勧めしたいのはこちら。
ヴィレッジブックス刊 絶対無敵スクイレルガール:けものがフレンド ¥2,300(税別)
表紙詐欺と名高い邦訳版。山下しゅんや氏のプリプリなスクイレルガールに惹かれて開くとびっくりする。
▼公式の帯でもネタにされる始末である。
だが、ちょっと待って欲しい。
実はこれでいいのだ。いや、これがいいのだ!
見た目のインパクトは、スクイレルガールが持つ個性のひとつと言える。
この邦訳版にも収録されている「スクイレルガール初登場回」。
▼スクイレルガールの顔のアップ・ファーストショットがこれだ。
非常に個性的で、極論すれば面白おかしく描かれている。
ストーリーは、新アーマーの試験中のアイアンマンの前にヒーローの仲間入りをせがむへんてこなリス娘が現れアイアンマンを困らせるが、彼女は更なる問題を引き連れてくるのだった・・・と言った感じ。
初登場回のストーリーは完全にコメディテイストで、いわばギャグマンガと言えなくもない。
風変わりな女の子とアイアンマンのおかしな掛け合いが展開したかと思えば、
▼なんせポッと出のこの女の子がマーベル屈指のヴィラン「ドクタードゥーム」をコテンパンにしてしまうのだから。
クライマックスは威信のかけらもないドゥームが描かれる。
日本でも最近ではかつてほどコテコテのギャグマンガは見られなくなってしまったが、古くは赤塚不二夫(天才バカボンなど)や山上たつひこ(がきデカなど)などの頃より、ギャグマンガ(特に低年齢向けの作品)の主人公や登場人物は「もう見た目が面白い」のがある種のお決まりであった。
アメコミと日本の漫画では単純に比較することは出来ないが、このスクイレルガールはこれらと同様に、明らかに「見た目が面白いキャラクター」として描かれている。
その証左に、作中では顔のアップを多用しこれでもかとインパクト満点のひょうきんな表情を見せてくれる。
初登場からして「顔芸」は彼女の持ちネタ、個性なのである。
流石にこのヴィジュアルについてはいささかインパクトに振りすぎたと自覚もあるのか、
▼後になってスクイレルガール/ドリーン本人も若気の至りと回顧している
そう、初登場時のドリーンは「14歳の中学生」なのである!
無邪気にヒーローに憧れる特別な後ろ盾もない一人の少女が、(恐らく)ハンドメイドで繕ったコスチュームと自ら施したメイクでヒーローに変身しようとしたと思えばどうだろうか。期待に胸を膨らませながら一所懸命変身する少女の姿を思い浮かべてほしい。
いささか不格好なのも頷けるし、微笑ましくも見えてくる。
ちなみに、尻尾はコスチュームではなく自前。尻尾が見せる表情がキュートなのである。
▼感情に合わせて動く尻尾
14歳の少女だと思えば、無邪気でいささか突飛な言動や奇抜な行動も子供らしいものだし、飾らない表情も子供のそれに見える。
▼ここ好き。かわいい。
この時の彼女はヒーロー以前、さらに言うなら大人未満の子供なのである。
(14歳にしては子供っぽすぎるきらいもあるが、だがそこがいい)
だが、付け加えておきたいのは、彼女が変わり者のおかしな女の子であることは間違いないが、見た目からイメージするような単純な「おバカキャラ」ではないということ。
自分が他者とは違うことで思い悩むナイーブな感性や、
自らの行為に対してしっかりと責任を感じる分別もあり、
人の意見に耳を傾け理解する聡明さもある(いささか前向きにとりすぎるが)。
その上で、困難に立ち向かう勇気やあきらめない強さを併せ持っていることがこの短いストーリーの中でもわかるはずだ。
見た目と行動に隠されてしまっているが、複雑な内面を持ったキャラクターであり、ヒーローの素養もしっかり持ち合わせているのだ。
そして、数年の時を経て、スクイレルガール/ドリーン・グリーンは大学生となる。
奇抜なメイクは止めたものの、相変わらずひょうきんな表情を見せてくれる。
「顔芸」は健在。
彼女の気持ちを隠さない正直で多彩な表情は実に魅力的で面白い。
海外のカートゥーンやピクサーのアニメに見られるような誇張した表現にも通じる、いわばより漫画的な表情。
作中で繰り広げられる騒動のなかで見せるドリーンのこういったリアクションは見どころのひとつと言える。
これは作品とキャラクターの立派な「個性」なのだ。
是非、彼女の顔を真似しながらご覧頂きたい!
さてさて、大きくなっても相も変わらずおっちょこちょいな風情のあるドリーンだが、大学では「コンピューターサイエンス」を専攻。
▼ここで思い出したいのはこの会話。
おそらくはごまかし半分で放ったであろうアイアンマンの言葉を真に受け、パートナーに必要な知識としてコンピューターサイエンスを学ぼうとしたのではないだろうか。
なんていじましいんだ!いい子なんだよね!
この純真さ(単純ともいう)というかポジティブさがドリーンの大きな魅力。
はた目には欠点に見えそうな所や失敗も、持ち前のポジティブさでプラスに変えていく。
▼正体を隠すために立派な尻尾はパンツの中に収めてこの一言。
そのポジティブさと臆さぬ性格とあわせて、持ち前の聡明さとコミュニケーション能力が彼女の最大の武器となっていく。
窮地にあっても、自慢の身体能力の高さと機知に溢れたアイデアでその場を切り抜けたと思えば、
名のあるヴィランと対峙するにあたっては
▼リスには相性の悪い「”狩人”クレイヴン・ザ・ハンター」
なんと、彼らを「対話」によって退けてしまうのだ。
▼拳を交えた激闘(?)の果てに行われるなごむ会話。
「どうしたらお互いがハッピーになるのか」を彼女は考える。
相手の心情を察知し、納得いく提案をして、丸く収めてみせる。
スクイレルガールは話を聞かせるだけの戦闘力も兼ね備えた「コミュ力おばけ」でありいわば「策士」の一面ももっているのだ。
やっていることはハチャメチャに見えるがしばしば知的な面を垣間見せてくれる。
また、今作では彼女のごく普通の大学生としての一面も描かれたりもする。
▼男の子にときめいたりするも
どうもまだ大人の恋には程遠いようだ。
我々と同じような身近な感性を持ち合わせていることがユーモラスに描かれていて、彼女への親しみやすさが増す。
ドリーンとリスの相棒チッピトゥとの掛け合いをはじめ、作中で繰り広げられる会話もウェットに富んでいて実に愉快だ。
翻訳の御代しおり氏による柔らかく読みやすい和訳でこれらを楽しめるのは嬉しい。
また、今作の面白さのひとつに「絵の面白さ」がある。
「コミックなんだから当たり前だろ」と言われたらそうなのだが、ドリーンの「顔芸」を代表にして、絵で笑わせようという狙いが実に豊かに織り込まれていて、作家の遊び心が作品全体に満ちているのを感じる。
▼絶妙な「間」がたまらない。
▼アイアンスクイレル発進!アイアンチッピトゥのヴィジュアルが超絶エモい。
▼ちゃっかり着地に失敗?するチッピィ。
▼自立支援型スクイレル(リス)アーマー・通称「スクイレルマン」と警官の微笑ましいやりとり。
余談だが、お話の幕間にあるページではTwitter風のSNSでキャラクターたちがリプライを飛ばしあっている微笑ましい風景が掲載されている。
作中にまつわるやり取りもなかなか面白いが、彼らのアカウントを実際のTwitterで検索すると・・・
なかなかシャレの効いた趣向である。
スクイレルガールは憧れヒーローというよりは、楽しい友達のような、それこそ「親愛なる隣人」というべき魅力にあふれた「カッコつけない」ヒーローなのだ。
ややこしいストーリーもなく、深い予備知識を必要としなくても気楽に読めて、しっかり楽しい。
アメコミの読み方にちょっとハードルを感じるあなたにこそ進めたい一冊です。
おっちょこちょいで目が離せないスクイレルガールのハチャメチャなドタバタ活劇をぜひ笑いながら見守っていただきたい。
みんなで読んで2巻を待とう!このままじゃ、いつまでたっても出ないから!
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