藤野千夜(ちよ)さんの本は「じい散歩」が面白くて、別な本があれば読んでみたいなぁ~と思ってました。
この本も家族を取り扱っていて、雰囲気は似通っています。ただ、「じい散歩」では、年齢を重ねるに従って増えてくる諸問題を「まぁ良いか~」と放置している感じがして、「大丈夫かよ」と心配したのに対して、こちらは、「親子三代」と若い世代も含まれています。それぞれの年代の家族が、付かず離れずの関係の中で、時間が少しづつ進んでいって、前に進んでいきます。
ページ数は469頁も有るのですが、終盤残りページ数が少なくなってきても、それぞれの未来とか将来とかは、散らかったままで「えぇ~、このまま終わるの」と思えました。
じい散歩では、90歳にならんとする夫婦の家庭を描いていますが、この家族の方はずっと多彩な構成です。若いこれからの世代を登場させていて、小学生の章太は中学受験や初告白と初々しく毎日を送っている様子が描かれます。彼の中学受験や、進学した私立中学での級友たちとの交流などは、微笑ましく、それこそ、誰もが通過したであろう事象が多く登場していて、「ガンバレ若僧」と応援したくなりますね。
勉強にしても、小学校ではたいして勉強しなくて、上位だったのが、進学先では低迷してしまう様子や、我流のギター演奏もちゃんと習った友人から比べると雲泥の差を知ることになります。狭い世界からちょっとだけ広い世界を垣間見て、彼がどうなっていくのか、も楽しめるポイントでした。
それに加えて、大きなアクセントになっているのが、やっぱり「犬一匹」のトビ丸の存在でしょうね。このワンコが「喋るのではないか」というシーンも有りました。言葉を発するのはムリとしても、言葉を理解しているのでは?と思える時も有りますね。私もワンコを飼っていましたが、飼い主の表情を見る事は多かったです。ワンコなりに、その場の雰囲気を感じ取っていたのだと思います。
ちょっとギスギスしそうな場面なら、自分(ワンコ)がはしゃぐ事で場が和むなら、そう動くようになっているのでしょう。じい散歩では、ギスギスしそうになると、あの爺さんは散歩に出ちゃうからなぁ~。
自分の読書は、ボケ防止的な意味合いも大きいです。本を読んで、なにかしらを得て、それをこのblogで読書感想文にすることで、頭を使って→ボケ防止って考えています。なので、すぐに「この本(作家さん)は、何を伝えたいの?」に気が行ってしまう時があります。「この本のどこが面白いの」と思ったりもします。
でも、この本は最後に「朝日新聞 2008年7月29日~2009年6月8日」と記載があるのです。新聞連載だったのです。一冊の本として、連続して読む本と違って、毎日毎日の連載は、原稿用紙2枚半だそうです。すごく短い文章の中で、淡々と物語が進んでいきます。強いメッセージ性とか予想外の大波乱とかは、縁がないジャンルの様です。
暗いニュースとかも多く扱う新聞の中で、ちょっとしたオアシス的な役割なのかな、と思いました。
でも、終盤の尻切れトンボ具合は「突然、打ち切りになったの?」と勝手な想像をしてしまうほどでした。(余韻を残すっていうヤツかな)
読後にググってみると、インタビュー記事が有りました。読みながら「?」と思っていた点の答え合わせをしている気分になりました。
─ 改めて『親子三代、犬一匹』の読者にメッセージはありますか。
藤野 小説ではドラマチックな出来事が起こると思っている方には何も無くてビックリされるかもしれません。ちょっとしたことで楽しかったり、くよくよしたりする小さいことの積み重ねの話を楽しんで貰える小説を書きたかったんです。柴崎家みんなの楽しい話です。読んで温かい気持ちになってくれたら嬉しいです。
っていうお気持ちで書かれたようです。納得しました。
全文は→〇


