えぇ~翻訳物ってずっと読んでなかったように思います。きっかけは、また「映像化」です。それも、Googleを何気なく見ていたら、映画紹介があって知りました。

 

 

  予告編って上手に作るなぁ~

 

映画の方は

 

 

この予告編を見ると映画館に足を運びたくなりました。ところが、滋賀県で上映している映画館はなく、京都は新京極まで足を運ぶ必要があります。それも朝一番の上映一本だけ。迷うなぁ~

 

図書館で検索すると、蔵書が有りました。良かったぁ~。

この本、ちょっと前になりますが、2014年の本屋大賞の翻訳本部門で第2位を獲得しています。定年を過ぎてリタイヤしている主人公(同世代だ)がイギリス南部から北部まで800㎞(実際には1,000㎞オーバー)を徒歩で歩くという映画ならロードムービー、小説だと旅小説っていうジャンルになるのでしょうか。

 

 

  あらすじは(映画のサイトから拝借)

 

 

主人公は、定年退職し、妻のモーリーンと平凡な生活を送るハロルド・フライ。ある日、彼のもとに1通の手紙が届く。差出人は、かつてビール工場で一緒に働いていた同僚クイーニー。ホスピスに入院中の彼女の命は、もうすぐ尽きるという。返事を出そうと家を出たハロルドだったが、彼にはクイーニーにどうしても会って伝えたい“ある想い”があった。ホスピスに電話をかけたハロルドは、「私が歩く限りは、生き続けてくれ」と伝言し、手ぶらのまま歩き始める。目的地までは800キロ。彼の無謀な試みはやがて大きな話題となり、イギリス中に応援される縦断の旅になる。

 

 

  爺さん、そりゃ無謀だよぉ~

 

 

この爺さん、あらすじにあるように、元働いていた会社の同僚からの手紙を受け取ります。差出人の女性はホスピスで闘病中。ってことは「癌」ですね。ありきたりな内容の手紙を送ろうと考えてポストを探します。ところが投函出来ないでいます。

そして、なんと歩き始めるのです。しかし、全くの準備をしていません。服装は普段着、靴(大事だ)はデッキシューズ、携帯電話も自宅に置いたままでした。

これで800㎞先まで歩こうとします。

 

そして、読み始めて、こちらまで苦しくなるのが、遅遅として歩みが進まないのです。そりゃそうですよね。定年退職していて、これと言ったスポーツとか無縁に過ごしていた、爺さんが突然歩き始めてもね。

 

自転車でも、最初の頃は20㎞や30㎞の距離を踏むと、一大事業を成し遂げた気分になったものです。筋肉痛やお尻を始めアチコチ痛くなります。

この爺さんも、筋肉痛や足の痛みで一日に10㎞も進んでいかないのです。

 

いったい何時になったらたどり着くのか?とこちらが心配になってしまいますね。お金の事も心配だし、奥さんに何も言わずに出てきています。雨だって降るのです。

 

400頁で翻訳物ですから、やや頭の中に描きにくい所(住所とか人物名とか・・・・)有りますが、こちらが、ハラハラ、ドキドキしながら読み進めさせてもらえました。

 

 

  年齢人生を重ねればこういう感情ってあるよな

 

 

単純に過去の同僚にお見舞いを伝えに行くなら、自動車や列車で行けば良いのです。相手は闘病中。牛歩の歩みでは、たどり着いた時に手遅れになるかも知れません。本文でも、「俺の車を運転手付きで貸してやろう」と言ってくれる有名人が登場したりします。

 

しかし、彼はホスピスに電話して

「伝えて下さい。」

「会いに行く」

「僕が歩く限り、生き続けろ」

 

と彼は自分に何かを課しているようでもあります。文明の利器を使ってすぐにでも会いたいけど、それでは彼の気持ちは満たされないなにかが有るようです。この紐解き具合が絶妙でして、一度読み始めるとなかなか中断出来ないのです。

 

そして、いくらか自分にも当てはまる所があるような気がしてきます。

 

自分の話になりますが、2023年6月に北海道一周の自転車旅をさせてもらいました。ずっと家業をしてきて、長い休みなんぞ取ることは出来ませんでした。大学生の頃に行った北海道を時間をたっぷりと使って、学生時代でも出来なかった自転車旅をしてみたくなりました。カッコ付けて言うなら、あの頃の忘れ物を取りに帰る気分でした。

 

 

  作家さんは、ラジオドラマの作家さんらしいです。

 

 

道中、いろんな事が起こります。歩き続ける事は辛いのですが、ちょっとした親切がものすごく嬉しかった事もあるし、逆にすごく喜んでもらったこともおこります。

小さな起伏をなんども登場させるのは、ドラマ化も頭に置かれているのでしょうか。

 

そして、序盤から主人公も含めて、みな何かしら訳アリの人生を過ごしてきていて、口に出せなかったり、後悔している事が、ポロポロとこぼれ落ちるように解き明かされて行きます。

 

このボソボソと種明かしをしていく様子とか、全10話のドラマとか狙っている本なのだろうか?と思いました。