ラジオが関わるお話×6話

 

 

原田ひ香さんの本、二冊目かな。先に読んだ「三千円の使い方」が面白かったです。それと、amebloの「鳥さかのおのちゃん」さんが紹介してくれてました。

 

作者さんは、シナリオを独学で勉強してNHKのラジオドラマ脚本の公募で最優秀作受賞されています。この本の中にも、シナリオを学んだり書かれていた経験を元にされているんだぁ~な記述は所々に登場します。実在のラジオ番組やタレントさんのお名前が多く登場させていて、作者さんのラジオに対する想い入れや造詣の深さが分かります。

 

ラジオにまつわるお話が6話入っています。それぞれのお話で共通することは「ラジオ」だけです。ラジオというやや(かなりかな)マイナーなメディアがそれぞれの人生にちょっと関わっているお話ですね。有名タレントさんが自分のラジオ番組を持たれていたりしますよね。SNSやTVなど情報を伝えるメディアの種類が多い時代になりましたが、肉声で多くの場合リアルタイムで送り手と聞き手がつながるラジオってなかなか捨てたもんじゃないですね。

 

私は早朝ルートを担当していた頃、最初はCD→MP3で聞いていたのですが、曲順とか覚えてしまうと眠気が出ました。radiko(一週間以内なら後から視聴可のネットサービス)でFM COCOLOを録音して聞いてました。ヒロティーさんの番組やここでスタレビやKANさんのリアルに出会いましたね。


 

 

 

  あらすじ

 

 

第1話 三匹の子豚たち

 

義理の両親や旦那を看取って、年齢も重ねてそろそろ老人ホームか?と考えていた信子さんの選択は、ケアハウスでした。彼女は今までの人生経験の中で一つの考えが有りました。

信子の考え方のほとんどが自分の見たもの、実体験から生まれたもので、それ以外はあまり信用していない

というのです。三人の息子たち(これが三匹の子豚)の言うことを聞いてはいますが、決めるのは自分。つまり頑固ですね。今までに悩んだ事もありますが、その解消法が「ラジオ」。伊集院の番組がお気に入り。

ケアハウスでも自分の考えを変えようとはしなかったのですが、伊集院にそっくりな職員さんに出会います。彼のお勧めもあって、ハウスの中のサークルにも参加。「これも良い」と思えるようになります。

 

第2話 アブラヤシのプランテーション

 

大学卒業して就職。一年で辞めてお笑い学校やシナリオ学校に通っていた筒井は、シンガポールでラーメン屋の店長のお誘いを受けます。このお店流行ったのは、最初の数か月で後はボロボロ。ここも逃げ出した彼の手元には、友人からのiPodが有りました。入れて置いてくれたのがビートたけしの「浅草キッド」売れないお笑い芸人のコンビを歌っています。

この歌で泣けるのは、自分のような人間ではないと。精一杯やって、成功できなかった人だけがこれで泣く権利があるのだ。自分にはその資格はない。

彼はまだ迷っているのですが、けどがんばるでしょう。

 

 

第3話 リトルプリンセス

 

このお話はちょっと難しかったです。平凡な主婦がラジオのシナリオを書いています。実際の生活と彼女が書いているシナリオが並走しながら書かれています。

シナリオを勉強しているwebの先生は、自分の辛い体験を書けと言います。彼女の辛い体験は不妊治療。旦那は非協力的ですが、母親はヒステリック。

 

第4話 昔の相方

 

夫は大学卒業の時に友人のタケルにお笑いに誘われますが、断って会社に就職。タケルは苦労した時代が長く続きます。夫は売れない時代に援助してあげていました。そして、ようやくM1のファイナリストに。ところがタケルはラジオで夫の事を笑い飛ばして、しかもTVに出てくれと言ってくるのです。

売れる為にはたとえお世話になった友人でも笑いのネタにしようとするタケルに怒りを感じます。

昌紀はわかった。タケルは絶対に放してはいけない人間の手を放してしまったのだ。しかし、それをしてでも彼は売れたかったのだ。

ささやかだけど夫婦二人と娘の生活を守っていく。お祖母ちゃんの「人には添うてみよ」の言葉が本当だぁ~

 

第5話 We are シンセキ!


クラスや部活の中の上下関係で悩んだりする主人公。ある日ラジオを聞いていると、チアリーディング部の人気者がラジオの電話相談に登場する。

リスナーが本気で親戚のような気持ちになって考える

ところが、彼女の話は現実とはちょっと違うようです。良い子ぶっていて、なんだか変。ラジオっていうメディアが凄く狭い世界ですね。

 

第6話 音にならないラジオ

 

三年前にラジオドラマで賞を受賞した主人公。ところが、その後は泣かず飛ばずで放送局に飼い殺し状態。送った原稿も読んでくれてないように思えます。

一度ボツにされた原稿を違う名前で再度応募してみると、見事当選。しかし、これは禁じ手ですね。ラジオドラマの作り手さんの世界も大変なんだぁ~。