植松三十里さんの本

 

植松さんの本続いています。当市の図書館には現在39冊あるので、まだまだいけそうです。歴史上の脇役かと思える人物を描かれていて、そっちの方がよりその時代の雰囲気を感じられるようにも思えました。これがこの手の本の魅力のひとつなのでしょうね。

 

 

  誰もが知っている坂本龍馬の奥様のお話

 

 

幕末の偉人たちで有名な方は多いですが、坂本龍馬はそのトップクラスでしょうね。いくらか作られた感じもあるのです。でも、あの忠臣蔵だって私たちが持っているイメージは後に人形浄瑠璃や歌舞伎で取り上げられたからですね。集団テロ事件を美談にしてしまう力があります。

 

坂本龍馬にしても、どうもそれほど有名では無かったのですが、日露戦争海戦直前に明治天皇の皇后さんの夢枕に坂本龍馬が立ったという話が広まって→有名になったと言います。これには、当時の軍部(海軍)が、日本国の近代海軍の基礎として

 

日露戦争開戦直前の明治37年(1904年)、美子皇后の夢枕に坂本龍馬が立ったという話が広まり、再び龍馬が注目を集め、お龍の存在も世間に広く知られるようになる。

と軍部が戦意高揚の為に引っ張り出したというのがあるようです。それと、なんと言っても司馬遼太郎氏の「竜馬が行く」ですね。男の子好みですよね。

 

 

 

  「お前」「お前さん」の関係かな

 

龍馬とお龍さんとの関係で有名なのは、龍馬が刀傷を負った時に療養に西郷が勧めた霧島温泉に向かう旅でしょうね。これが日本で初めての新婚旅行だと言われています。これも、後に観光支援の為に持ち出したのかも知れませんね。

 

龍馬は「海」や「船」の人です。なので、待っていても、なかなか出会えませんね。二人はあちこち点々としますが、龍馬の「〇日には戻る」は何時も空手形で、反故にされてしまいます。まぁ船乗りを待つ女性の常って言えば常ですよね。なので、久しぶりに出会った時の彼女の様子は、ずっと主人を待っていたワンコが狂喜するがごとくです。周囲の目(海援隊とか)もお構いなし。

 

夫婦という法律で定められた関係というより、「お前」「お前さん」の関係を連想しました。お互いが言葉なんかなくても分かりあっている関係って感じです。

 

しかし、龍馬は体格も良く、人間性にも魅力たっぷり。男が惚れる男ですから、女性陣も外っては置きません。色っぽい話も出て当然、他に女を作るのは男の甲斐という時代だし、そういう男ぶりですね。

 

法律上の「正妻」なので、どっしりしていれば良いのですが、そういう関係ではないお龍さんは嫉妬しますよね。龍馬の手帳を開いてしまうシーンが有ります。

 

 

  脇役さんが歴史を立体的に見せる

 

たとえば、陸奥宗光。外相ですよね。しかし、この本で登場する陸奥は悪役です。お龍さん陸奥を頼るのですが、維新の功労者の竜馬の奥さんに対しての援助が水臭いです。邪険に扱っている印象です。龍馬も「自分が死んだ時は、こうしてくれ」のような手紙を残しているにも関わらずです。

 

そういう時代だったのでしょうが、維新に功績があった故人の奥さんに対して本当に冷たいです。お龍さんも「家」に属していたらなぁ~ですね。正妻というよりは、ずっと情婦のような関係。それと二人の間に子が無いのが当時としては決定的に不利なのですね。これも時代かと感じさせます。