ロングライドの予定が迫っていて、図書館で借りた本を大急ぎで読んで→読書感想文を書いています。この本は、少し前に司馬良太郎さんの「街道をゆく 肥前の諸街道」の中で「三浦按針」氏が登場して、もう少し詳しい本(でも歴史小説希望ですね)を探してみました。市の図書館で「三浦按針」をキーに検索すると、いくつかヒットしまして、その中でとっつきやすそうな本を選んでみました。

 

 

自分の知識では、「家康」「海」が結びつきませんね。「家康」「外交」も違うような気がします。どうも「鎖国」っていう歴史上の結論だけを知っているだけで、そこに至った過程を学ぶ事が無かったし、まぁ激動の時代ですから、この本の中でもあるのですが、ある時はスペインに近づくし、その結果としてキリスト教容認になりますが、三浦按針が登場してから、オランダやイギリスと接近するのです。また、キリスト教と一口に言っても、当時はカトリックとプロテスタントの争いでもあったのです。(プロテスタントが分かれたのが70~80年前とこの時代では最近の事だったのです)

 

 

 

  ウィリアム・アダムス→三浦按針

 

彼(ウィリアム・アダムス)は造船工の見習いから英国海軍でスペインの無敵艦隊と戦っています。そしてオランダの会社に雇われて日本を目指します。時代は秀吉の時代。

ロッテルダムの会社が仕立てた艦隊は5隻で、その旗艦は乗組員130人、備砲は34問という大きなものでした。しかし、日本に到着したのはわずかに1隻で、110人の乗組員は24名になり歩けるものは6名だったそうです。

 

この生き残りのアダムスから徳川家康は海外の様子を教示されるのです。三浦按針は家康がアダムスを召し抱えるのに与えた日本名です。

 

  複数の登場人物が交錯します

 

主たる登場人物はもちろ三浦按針なのですが、もう一人「おたあ」なる朝鮮帰属の娘が登場します。私の乏しい知識には無かった人物になりますね。冒頭に秀吉の朝鮮侵略から当時三歳で日本に連れ去られたところから物語は始まります。

 

最初「おたあ」は架空の人物かな?と思ったのですが、後で作家さん本人が書かれたものを読んでも登場しています。実在らしいです。

 

そして「家康」ですね。まぁ「狸親父」なのです。でも、国内の事ならいくらでも思慮を巡らせることが出来ますが、海外の事となると家康の思うようにはなりません。当時のスペインなどの領地拡大を続けている国を相手にする必要が有りますし、交渉って言っても、「本国に問い合わせる」事案になると、いつ返事が来るのか分からないほどの時間がかかります。

 

しかし、この本に登場する家康は、思慮が深くて、すごく理知的な感じがします。

 

家康が人質時代を経験しているのはご存知だと思いますが、今川では教育もあってそれはそれで有益だったようです。そこで、このお話の肝になる登場人物「大原雪斎」に出会います。彼の言葉が帯にも引用してありました。

 

すべての合戦を勝ち抜いた者の手で、天下は統一されねばならぬ。そして仕上げが外交じゃ。諸外国に認められ、対等な友好関係を築いてこそ、国家としての権威が確立し、国内も長く治まる」

 

この言葉がどこかに書簡とかで残っているのか?それとも、史実から作者さんが推察されたお話なのかは分かりませんが、「たぶん、こうだったんだろう劇場」的には、こういうのもアリだろうなぁ~。

 

 

  アドベンチャー三浦按針

 

雇い主のオランダや母国のイギリスに帰るとしても命がけの時代です。ものすごい年月が掛かります。日本に来た時だって5船だったのがたどり着いたのは一船だけです。しかし、いくらか交流が始まると、同乗すれば帰国する方法も有ったのですが

 

そんな安穏な暮らしに向けて踏み出す気にはなれない。そんな生涯を夢見て、リーフデン号での苦難に耐えたわけではないのだ。たとえ今、イギリスに帰ったとしても、またメアリー(イギリスに残した奥さん)を泣かせて、冒険の旅に出るのは目に見えている。

 

晩年には、家康の対外政策は定まってきていて、三浦按針の存在価値は薄れてきています。

 

 

  植松三十里さんのこと

 

 

作家さん自身がこの本を書いた経緯などを書かれてました。↓

 

 

それと、私自身は植松三十里さんの本は初めてではなかったです。

 

 

別府観光の父の「油屋熊八」のお話。私、こういう一代記好きです。