梶尾真治さんは、「黄泉がえり」が有名ですよね。映画化されています。

wikiで調べてみると、SF系のお話を多数書かれています。

面白いのは、実家が石油会社を経営されていて、親父さんは俳人でちょっと名の知れた地域の有名人だそうです。大学卒業後、名古屋の石油会社に二年勤務の後に、実家の会社に就職。勤務をしながら作家活動をするのですが、親父さんは快くは思ってなかったとか。ありそうな話ですね。そして、「黄泉がえり」が1999年に発表されて、2003年に映画化されて、ようやく2004年に作家専業ってことになるそうです。

やっぱり作家だけで食っていくっていう決心は難しいのですね。

 

 

主人公は、時代小説を書こうとしている、ちょっと売れない作家さん。熊本にある、父方の実家は古いお屋敷でして、しばらく住む事になります。ところが、このお屋敷、「幽霊が出る」と言うのです。

 

でも、それほど気にもせずに暮らし始めますが、出るのです。

 

 

 

  お話はタイムトラベル物

 

となると、このお屋敷になにかしらの秘密がありそうに思えます。読み手の方にも、少しづつ手がかりらしきものを提示してきます。

例えば、「天井裏の穴」この穴にすっぽりとはまる「不思議な金属の棒」が見つかります。これが何かしら「幽霊」の正体らしいのです。

 

お話は「タイムトラベル」物です。隔たれた時空は、江戸末期で場所は同じ熊本のお屋敷周辺です。ただ、このタイムトラベルを発生させている機械(現象)は不安定らしく、過去にも主人公と同じようにタイムスリップしてきた人物(りょじんさん)が居るのですが、なんの予告もなしにまた居なくなった(元の時代に戻ったらしい)りします。

 

江戸時代の生活が現代と比較しながら登場します。この江戸風情が頭に描けて、そこは時代小説でもあります。江戸時代のおおらかでゆっくりと時間が過ぎていく様子は、主人公さんが「このままここに居たい」と思うに十分ですね。

 

それと、「このまま」と思わせる理由が、妙齢の女性が登場します。彼女は本来江戸時代の人なのですが、このタイムトラベルの機械のええ加減さで、こっちにスリップしてしまったりします。主人公が彼女に現代風の衣装(下着まで)をデパートで整える様子は可笑しくもあり、ちょっと気の毒ですね。

 

 

  結末が・・・・

 

ところが、頁数が残り少なくなっても、いっこうに結末が見えないのです。タイムトラベル物って、制約ありますよね。しかし、「あぁ~こういう結末か」と思わせてくれました。

 

私は、こういうSF物嫌いではありません。他にも著作は多いし、図書館にも多数蔵書もあって、楽しみです。