関西ローカルMBSの番組で作者さんとのインタビューコーナーがあって、知りました。

なにやら親子のお話らしく、おっさんも親父の身の上。なんだか、キュンとするようなお話らしく、すごく気になりました。

本屋さんに行くと、目に着くところに縦積み。実は、今年一月の直木賞(第158回)受賞作です。

 

これは小説ですから、史実に忠実ってことはないのでしょうが、ものすごく外れているってことも無いと思います。

私はあの有名な「雨にも負けず・・・」くらいしか知らないのですが、(他には高校の時にセロ弾きのゴーシュで放送劇をやりました)作者さんの印象としては、割と貧困な様子を想像していました。

 

しかし、この本によると(ウィキ調べでもほぼ同じ)生家は、質屋と古着屋をやっていて、その地方では有数の名家。と言っても二代前の当主は道楽が過ぎて没落寸前。それを救ったのが、次男(賢治の祖父)で、それはそれは倹約に徹するのです。賢治の父親は秀才(小学校の成績は全て甲)なにですが、「質屋に学問は不要」と中学進学は断念。学問をすると、よけいなことに目移りして、道楽に走ったりする、と考えられていたようです。

 

賢治もやっぱり秀才なのですが、なんとか中学に進学。だんだんとその才能ぶりを発揮するのですが、やっぱり生家を継がなくては、とも考えていて、外野から見てもやっていることはバラバラですね。

 

一番辛いのは、この時代、病気になると、これと言った薬が無いことですね。結核にしても、安静にして栄養を取って、という位。なんども危ない時があるのですが、親父の献身的な愛情で持ち直します。

 

多才なので、いろいろと感心もあります。洋書が欲しくなったりします。偉大な親父に対抗しているのでは?と思えるような行動もあるのですが、そこはお金持ちのボンボン。お金に無頓着。その尻ぬぐいは、ほとんどが親父がするのです。

 

でも、病気の再発。こればっかりはお金ではどうしようもない。親父の切なくて、苦しくて、悲しいけど、訣別のお話。

自分の息子が宮沢賢治にはならない(当たり前)のですが、天才でなくても良いから、健康で居てくれたら・・・と思えますよ。

 

賢治の作品が世に認められるのが、死後っていうのも切ないよねぇ~。