入院5日目 「部屋の中には6人」 | 舘そらみのオトコミシュラン★★★

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脚本家・演出家・俳優の舘(だて)そらみが、「毎日会ういい男を紹介する」と始めたくせにほとんど書かないブログ

寝る前に頭痛抑える薬をもらって、おかげで良く眠れた。はあ、良く寝たなあ。
気付いたらもう朝。
同室の皆さんは大変そうだ。昨日まで元気だったおしゃべりおばさん、今日は寝がえりすら禁止されている。それはキツイわ。
この部屋の中でおしっこしている人が沢山居るのに、尿の匂いがしない。もう鼻がならされてしまっているのか??

退院がなんとなく決まったら色々不安になってきてしまった。
こんなに頭とお腹が痛かったら、全然全然日常生活送れないよ…てか、何故まだ痛いんだ。数値はかなり改善したというのに。
お医者さん、数値だけではなくて患者の訴え聞いてください。
とか思う度に、ああ私も面倒な患者だなあ。いわゆる患者だなあと思うのだけど、いわゆる患者です、全然。
数値で改善した言われても、痛いもんは痛いんじゃい!!
分かんないけど。もう「痛い」という感覚もこれ麻痺してんのか?もしや。

まあでも、あと数日で多分(ホントかな)退院するので、全然元気なもんだ。
ここに居ると、自分がスポーツマンに思えてくるくらい比較して元気だ。
自分でトイレに行けるし、シャワーだって浴びれるんだから、ものすごい元気に思えてくる。ここでは。

同室の皆さんの病状が少しでも良くなりますように(私のために)
少しでも良くなって、皆さんがもう少し人間の尊厳的な生活が出来ますように。
痛みや不安が伴っていると、皆さま性格が本来のものとは変わってくるからね。あくの強さはもう勘弁。
皆さま、少しでも元気になーれ。それで、呻かないようになってつかぁさい。自分の病状を何度も何度も説明してくんのも辞めてつかぁさい!

隣のおばさまは今日退院らしい。ごめんけど、有難い。
優しいのは分かる。でも、そのちょっと的外れな優しさに辟易としてしまっていたんだ。
おばさまも自分の痛さが辛いから、ちょいと的外れだったんだろう、そうだろう。それは分かるんだけどね、
全ての会話を聞かれているのも、その後コメントされるのも、同じ話を何度もされるのももう嫌なんす!
人のご飯のメニューを毎回チェックしてコメントされるのも、歯磨きの時間の長さをコメントされるのも、もう嫌なんす!退院おめでとーごじゃーます!へい!

眠りほうけて、昼前。頭が痛いので、明後日あたりCTを撮りましょうという話になる。
シャワーを予約したんだけど、ちょいと元気が無いのでキャンセル。
今日浴びないとあと3日浴びれないぞよ・・・いいのか、いいのか、と自問自答。
「ま、誰にも会わないから、いっか!」との誘惑が勝ちそうになる。ほぼ勝った。
だめー!だめー!そういうことすると、どんどんブスになるーー!!
へ、もう体重は増加したし、多分活き活きさは消えていったし、もう大分ブスだわよ、と卑屈精神が顔を出す。昨日まで髪の毛も編みこみとかしてたのになあ、今日はボッサボサ。

急にご飯食べちゃったから、かなあ。どうも体の調子が良くない。
お粥割合また落としてもらおうかしら。別に米粒が見えなくなっていい。

今日の看護師さんは外れ。人によって全然違う。多分今日の看護師さん、ストレスすごい。
てか、「自分の仕事大変、私って大変」って思ってそう。
技術的なことは分からないけど、応答全て苦笑い。特に症状重い患者さんを、少しバカにしたような感じで話す。しかも多分本当にバカにしている訳では全然無くて、バカにしているというポーズで虚勢を張っているようなコミュニケーションの取り方。「私は頑張っている、なのになのに…こんなに大変なのに!誰か、私を褒めて!」と全身が言っている。大丈夫か、今日の看護師さん。
話を聞きたくなるけど、私はしがない患者。
ふーむ、このタイプのコミュニケーションの取り方の方看護師さんに多いけど今日の人は格別かなあ。そんな褒められたいのか、看護師。
というか、そんなに認められていないと感じているのか、看護師。承認欲求のすごい職業だなあ。女、って感じ。
かたや医者は、なんとも回りが見えていない人が多くて非常に気持ちが良い。データや症状と向き合っている感がすごい。
人間では無くて、病気と向き合っているのですね!病気と、自分が知っている限りの前例と知識と話し合っているのですね!なんとも気持ちが良い。
ベテランのお医者さんほど、さばさばしていて気持ちが良い。

いつの間にやら、私は今週中退院で決定となっているようだ。そうか、そうか、いつ決定したんだろ。
良かった良かった。
良かったけど、ちょっと出来る限りそれまでに症状を、症状を抑えてーーーーー!!!!

一体総額でいくらになるんだろうと会計所に聞きにいったら、今日はお休み。ガーン。

献立見るのはもういいや。だって、献立と違うもん出るんもん!「常食」より格下なもん出るんだもん!ふんだ。
でも知っている、今日の晩御飯におはぎと書かれていることを。
私にも出るだろうか、おはぎ。
もしもおはぎが出なかったら、ローソン行っておはぎ買って食べてやる。うそですそんな勇気ない。

やめた!お昼ご飯食べたらシャワー浴びる!髪もちゃんとブローしよ!決めた!
退院前の隣のおばさんが、迎えに来た旦那さんとめちゃめちゃイチャイチャしている声が聞こえてきて、
メラメラが湧いてきた。
ちゃんとこぎれいにする!早く社会復帰出来るようにするもん!
私も早くデート行けるようにするもん!ふんだ!
シャワー浴びてこぎれいにして、今日もトキメキ探しに出掛けよう。

隣のおばさんが、洋服に着替えて挨拶してくれる。
わあ、見たことないくらい顔が輝いている。
洋服を着て化粧をして、とっても眩しい嬉しそうな顔をしている。こんなに変わるんだ。すごく魅力的。
帰る、って重要だなあと思います。
やはりここは、居る場所じゃないんだよなあ、って思います。
おばあさんおばさんたちが、あんなにもずーっと同じことを話しているのは、不安だからでしょうか。
うるさがってごめんなさい。
誇張まみれの話し合いを、疎んでごめんなさい。
でもそうだよね、私なんかと違って、皆さん、命左右する病状だもんね。不安だ、そりゃ。
斜め前に昨日入って来たおばあさんは、転移がどうのと言っていた。ここから帰る日なんてあるんだろうか。
洋服を着たキラキラしたお隣さんは、1人1人にねっとりとした別れをして帰っていった。トイレにも歩いて行けないハズの同室の人がフラフラ立ちあがって別れていた。どうにもねっとりとしたこういう時間が苦手だ。
帰りがけにお隣さん、週刊誌くれた。週刊朝日くれた。

今日は休日だから外来が無くて正面玄関が空いていない。
救急外来を通って職員玄関からコンビニへ。救急外来では、細い廊下で、運ばれた患者の家族が不安そうに座っている。数日前の私もああだったか。
コンビニはもう裏入り口を知ってしまったから、そこから入る。でも、そこじゃなくて正規の入り口から出た。
ここに慣れるのは、辞めようと思う。順応性の高い人間でして、だから、もう体がこの場所をしっかり受け入れているんだけど、慣れるのを全力で阻止しようと思う。
ここに慣れても、いいことない。こんなとこに慣れれば慣れるほど、生きる力を吸い取られる気がする。
病院はやっぱり、変な場所だ。人間が生きる場所ではない。
ここに居るのは、人間じゃなくて、病気を持っただけの器としての人間だから。
そこに慣れてしまったら、どこか乱れる気がする。
さて、今晩おはぎは出るだろうか。

夕食やってくる。
おはぎ、おはぎ、おはぎ、おはぎ、おはぎが無い。
何度見てもおはぎがない!!!
思わず、怒りスタンプを一杯LINEで送る。
おはぎの有無で、ショックを隠しきれない大人。
思わずおはぎが無かったーっと電話しそうになる。電話に手を伸ばす。
いやいやいや、おはぎが無かったなんて電話しちゃ駄目☆あー危なかった。
もう献立は見ない。献立に手のひらで転がされている。

なんだかブログに日記なんか載せてしまったから、心配されちゃっているみたいですが、
今週中には退院みたいです。よん。
炎症はもう大丈夫になりました。なかなか他の数値が回復しなくて、
なので自宅療養で頑張りましょーって感じですので、
大丈夫だー。
日記垂れ流し方式でめんごめんごありじゃじょー