店を開くも失敗、交通事故死した調理師だった父。
女手ひとつ、学食で働きながら東京の私大に進ませてくれた母。
その母が急死した。
柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。
全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。
仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。
そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の惣菜屋で、買おうとしていた最後のコロッケを見知らぬお婆さんに譲った。
それが運命を変えるとも知らずに・・・。
 
読了後の何とも言えない前向きな気持ちになる物語。
 
父と母が亡くなり、20歳で天涯孤独になる主人公の柏木聖輔。
金銭的な事があり大学を中退。
だけど、柏木聖輔の人柄なのだろう・・・「ひと」との出会いの運だけはいい。
 
コロッケがきっかけで、総菜屋「おかずの田野倉」でバイトする事になり、父と同じ調理師を目指す。
そして、同級生の井崎青葉との出会い。とってもお似合いのカップルだと思う。
 
普通なら、20歳で両親が亡くなるなんて・・・親ガチャ失敗。
人生投げやりになってしまってもおかしくない転機だと思う。
だけど、柏木聖輔は違った。
一歩踏み出して行動した。
いい人との出会いに結びついたのかもしれない。
 
作中にこんあセリフがある。
「風向きは絶対に変わっちゃう。八割が北風で、二割が南風。」
南風の時は、物事が順調に進む。
だけど、北風の時にどう過ごすのか?どう行動できるのか?結局、コレだと思う。
 
さすが、2019年本屋大賞2位とてもいい物語。
瀬尾まいこの「そして、バトンは渡された」が候補じゃなかったら1位だったのだろう。
(だけど、「そして、バトンは渡された」も凄くいい・・・。)
 
是非、全国の中学・高校の図書館には所蔵して欲しい1冊。
 
 
 
 
 
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